第7回 CSLフォトコンテスト結果報告と受賞者のコメント(PC/コンソール1位・2位の紹介)

第7回 CSLフォトコンテスト結果報告と受賞者のコメント(PC/コンソール1位・2位の紹介)

こんにちは、CSL Contest審査委員長の神乃木リュウイチです。

先日は第7回フォトコンテストへのご参加ありがとうございました!

この記事では、第7回CSLフォトコンテストの結果と、受賞者のコメントについてお知らせしていきたいと思います。

なおグランプリ最終放送のアーカイブは以下にありますので、こちらもぜひご視聴ください。

※作者からのコメントは、一部グランプリ決定放送からの書き起こしを含みます。

PC版第一位は、MASAKI さん「産業革命の街

18世紀の産業革命に湧いたヨーロッパの街をイメージして作りました。
産業革命の象徴である蒸気機関車をメインモチーフに据え、急激な社会構造の変化に付いていけない混沌とした街並みを再現しています。
無秩序に張り巡らされた鉄道網と、街の至る所から吹き上がる工場の噴煙、増改築を繰り返した建物群が、近代社会の黎明期を彷彿とさせます。

PC版の第一位に輝いたのは、MASAKIさん制作の「産業革命の町」でした。時代設定と完全にマッチした街並み、全体の色合い、躍動感等の全てにおいて高い評価を獲得し、見事1位に輝きました。

作者からのコメント

受賞したときの率直な気持ちは?

月並みな表現ですが、とても嬉しくそして有難く思っています。実はこの作品は5月のGWに作ったものです。

当時は5月に開催されるものと思っていたので、それに合わせて作成していました。ただ延期が発表され、具体的な開催日程が分からない状況となってしまったため、本当に開催されるのかとても心配していました。

ですので、このようにコンテストを開催していただいたこと自体、とても有難く思います。そして、参加者が前回よりも増えていたことがとてもうれしいです

このような盛り上がりの中で、栄誉ある賞を頂いたことはまさに光栄の至りです。

この作品を作る上で工夫した点・苦労した点

コンセプトを明確にしたうえで、それをしっかり表現できた点が良かったのかなと思います。

18世紀の産業革命という、誰もが知る分かりやすいモチーフを選び、それを体現するような街並みを多分に誇張して作っています。

そのため、誰が見ても「ああ、産業革命だね」という共通の認識を持たれるかと思います。そういう分かりやすさが見ていただいた方々の共感を得られたのではないかと思います。

皆様へのメッセージ

次回のテーマは「交通」ということですが、これは Cities Skylinesというゲームの構成要素の根底にあるものなので、ゲーム中のどんなシーンを切り取ってもレギュレーションを満たす作品を作ることができるという意味で、初めての方でも応募しやすいのかなと思っています。

逆に入賞を狙う方にとっては激戦が予想され、クオリティの高い作品が揃うのではないかと思い、今から期待しています。運営の方々も、本業の傍らでやるには大変かと思いますので、無理しない程度にがんばってくださいませ。

本作品の別アングル・製作中カット

初期版は見ての通りかなり暗い感じになっています。
朝靄の効果で、向かって左の下層路地の遠近感はいい感じとなっていますが、メインモチーフである手前の鉄道が暗くて際立たないため、最終版は手前をかなり明るくしています。

 

舞台裏はこんな感じで結構スカスカです。
Fog controller を使った空気遠近法で奥行き感を強調しています。
この時代のレンガ造りの建物は、同じような色合いで、さもすればのっぺりとした感じになってしまいます。
空気遠近法を使って、同じ建物でも遠くに配置することで色合いを薄くすることができるので、色合いにバリエーションを持たせることができ、同時に奥行きが感じられるようになります。

Ultimate Eyecandy と relight を卒業し、Play it!/Render it!/ThemeMixer2 で画質を調整しています。
全体的に赤系統に統一して、鉄の錆感、退廃感、不安感を想起させるようにしています。

審査員長(神乃木リュウイチ)選評

第5回のコンテストでもグランプリを獲得したMASAKIさんの渾身の1作品。全体の色合いから感じられる絵画的な表現はもちろんのこと、左奥の通路を行き交う人、遠景と近景の街作りの違いなど、舞台設定にも余念がありません。「産業」という言葉を聞いて「産業革命」を思い浮かべた人は多いと思いますが、そのモチーフをここまで高度に実現したことは称賛に値すると思います。

コンソール版第一位は、はがねさん「新幹線×田んぼ」

上越新幹線の浦佐〜長岡の風景を参考にし、日本の第一次産業の一つである稲作の風景を作りました。

コンソール版の第一位に輝いたのは、はがねさん制作の「産業革命の町」でした。稜線や木々、田んぼに至るまでコンソール版とは思えないほど細部にこだわった作品が見事優勝を獲得しました。

作者からのコメント

受賞したときの率直な気持ちは?

今回は秀作ばかりだったので入賞できないかと思っていたのにグランプリとピーポー賞まで頂いて驚いています。特にピーポー賞に関しては少しだけ意識して作ったので嬉しいです。また、審査員の方やコメント欄の方々にもかなり褒めていただいたようでとても嬉しいです。

この作品を作る上で工夫した点・苦労した点

工夫点は新幹線の橋脚と田んぼの色、奥行きですね。橋脚には支柱置きを使用し、実際の上越新幹線の橋脚にかなり寄せることができて満足しています。田んぼの色は、田んぼごとに色を変えているというのがポイントですね。奥行きは雲によって表現しています。実はこれ雨も降っていて、山の方が少し霧っぽく
なっていることで表現できたんじゃないかと思います。
あとは工夫というわけではないですが、先ほども述べたようにピーポー賞を少しだけ意識して作りました。以前ピーポーさんの「新DLC Airportを使って空港をリメイクしよう」にて、新幹線の紹介で正直活用できるビジョンが思い浮かばないんだけど…みたいなことを言ったので新幹線を使い方と広めたいという側面もあり、採用しました。(あとタイトルもカケルマチヅクリだったりします笑)

皆様へのメッセージ

今回はコンソール版でどれだけ日本風を追求できるかを特に工夫しました。PC版かと思ったとのコメントを見かけてコンソールでもこれだけできるんだぞというのが伝えられたようで嬉しいです。コンソールの皆さん。ぜひコンソールの限界にも挑戦してみてください。
自分では自信がないような写真でも他人には評価されることが結構あります。今回から新人賞も追加されました。初めての人も参加するきっかけにしてみてください!!

本作品の別アングル・製作中カット

雨なし・時間帯の異なるバージョン。車体をメインにほかのトーンを落としているため、また違った印象を受ける。

下から見上げるような視点でも、橋脚をはじめとしてよく作りこまれていることがわかる。現実と異なり壁がないことで、逆に鉄道写真としての良さがでている。

開発エリアの全景

審査員長選評

運営メンバーは応募作品の到着をほぼリアルタイムで見れるのですが、これを見た瞬間は「あれ?PC版では?」と勘違いする程度には、格段にクオリティの高い作品だと思います。日本人なら誰もが知っている「田んぼと新幹線」というモチーフを、今のコンソール版の力を限界まで引き出して再現した作品です。新幹線特有の橋脚の多さは本サイトにも記載のある支柱出しの技術を用いて作られているほか、田んぼも一面の同じ色ではなく、休耕田や微妙に質感の違う田んぼを用意するなど、素晴らしい洞察力だったと思います。

PC版第2位は、河内乙さん「三行四辺五時

PC版の第2位に輝いたのは、河内乙さん制作の「三行四辺五時」です。激戦となった「工場夜景」ジャンルにおいて最も得票を集め、2位に輝きました。

赤富士に 露滂沱[つゆぼうだ]たる 四辺かな
午前五時 光と影の 不夜城に 
雨が舞う舞う 花火のように

作者からのコメント

受賞したときの率直な気持ちは?

1次審査を通過した安堵と、上位に選ばれた喜びで小さくガッツポーズしました。

文字にすると恥ずかしいですね・・・・・・でも率直に嬉しかったです。

この作品を作る上で工夫した点・苦労した点

工場夜景というジャンルでは、おそらく他の作品とも被ると思っていました。
他作品との差別化を図るため、以下のポイントにこだわりました。
  • 光と影に注意しながら雨を降らし光を拡散させ、幻想的な雰囲気にする
  • 赤富士の発生条件に合わせた未明~早朝の空や空気感にする
  • 上記2点が連想でき、余韻の残るようなコメントを充てる
これらを踏まえつつ、今回のテーマ「産業」と掛けまして、「三行」で解いてみました。

皆様へのメッセージ

「マシンスペックや技術(知識)が足りなくても、試行錯誤を繰り返す事で自分の思い描いた風景を作る事はできる」という事でしょうか。
「なかなか難しいよ~」とか言われそうなのですが、このCities:Skylinesというゲームを、これまで下手なりに地道に楽しく続けてきた成果のようなものが少しずつ出てきたと感じていますので、皆さまにもこの楽しさが伝わればいいな、って思っています。

本作品の別アングル・製作中カット

審査員長選評

工場夜景の保つ美しさ、儚さ、力強さ、寂しさ……そんな侘び寂びを見事に1枚の写真の中に詰め込んだ作品です。富士という自然に工場群を加え、更に雨を降らせて光を拡散する、モチーフとしては百点満点の配置に、綿密にライトアップされた部品のシルエットや、手前を走る車のライト、時代を感じさせる看板等、細やかな気配りが合わさり、圧倒的な説得力をもつ1枚に仕上がりました。

コンソール版第2位は、Shiva’sさん「空飛ぶクルマ解禁」

40年間勤めていた石油業界を引退して早20年。
石油を必要としていた自動車は、環境に優しい電動車へシフト。
技術はさらに進化。
ITとAI技術を駆使し、未来の乗り物と言われていた空飛ぶクルマがついに実現。

コンソール版の第2位に輝いたのは、Shiva’sさん制作の「空飛ぶクルマ解禁」です。SF映画のような世界観と人物・機械の対比が多くの感動を生み、2位を獲得しました。

作者からのコメント

受賞したときの率直な気持ちは?

コンソール版において、誰よりも情熱をもって挑んだCSLフォトコンテスト。結果は惜しくも2位。

悔しいというよりも、やりきったという気持ちでいっぱいでした。

この作品を作る上で工夫した点・苦労した点

原油ポンプの先端付近を刃物に見立て、放置自動車のルーフのへこみをいかし、地上を走る時代は終わりという破壊を表現。

同時に、新しい時代の到来として、空飛ぶクルマが迫ってくるような表現を夕日の効果と配置の仕方で調整。

空飛ぶクルマが光ることで近未来の乗り物にも見えつつ、遠目からだと星にも見えるように工夫。

過去と未来を対比し、どの距離感で見ても楽しめるように作り込んでいるところが、評価されたと思っています。

皆様へのメッセージ

勝ち負けなんか気にするな。
大事なのは、本気で臨んだかどうか。

最後に、CSLフォトコンテストの運営の皆様、ご覧頂いた皆様、誠に有難うございました。

本作品の別アングル・製作中カット

審査員長選評

空飛ぶクルマの正体はロープウェイで、撮影直前にロープを撤去することで、まるで空を飛んでいるかのような表現に成功。アイデアの勝利であると同時に、旧型の掘削機と老人、近未来的な都市と空飛ぶクルマの組み合わせにより、時代の流れを感じさせる厚みのある作品を作る表現力には目を見張るものがあります。遠くない未来には、車も空を飛ぶ時代が来るんでしょうね。

次回は3位~5位と審査員賞の発表です。

以上、CSL Contest #7の入賞作品をお届けいたしました。今回は特に激戦となったジャンルもあり、モチーフに対してどこまで追い込めるかといった、まさに「芸術」と呼べる制作過程を多くの人が体験したものと思います。

このコンテストでは、「高度なセットを作れる」「ライティング・シャドウをコントロールできる」「テーマにストーリーを載せられる」の3点が揃った作品が入賞し、逆にこの3つのうち1つ、2つが欠けている作品から脱落していく印象があります。

次回以降のコンテストでは、ぜひ上記の3点を意識しながら作品作りを楽しんでいただければ幸いです。

次回の更新では3位から5位、そして審査員賞を発表していきます。お楽しみに!