【MOD紹介】IPT2のすゝめ

【MOD紹介】IPT2のすゝめ

CSLを始めて普通のゲームプレイに慣れ始めた頃、市長様がはじめてMODを導入した街づくりをしてみたいとします。普段の街づくりから拡張した街を作りたい。そんな需要に寄り沿いながら、複数のMODが常駐しMODありきになってもなお街づくりを支え続けてくれる。そんな幅広く愛されるMODを紹介します。

背景

バス/電車/地下鉄/モノレール/トラム/トロリー/飛行船/フェリーなど公共交通機関は、大規模輸送やトラフィックの解消などの実務はもちろん、都市の修景にも関わり、都市に欠かすことはできない要素です。

バニラでは乗客の最大容量と現在の乗客数、今全旅程の何%を通過しているかの3つの要素が表示されます。また、車両の台数はシークバーで変更することができます。(バニラ:(MODによる改変のある環境と比較して)味気ないという意味で、デフォルト状態のこと)

しかし、バニラのシステムだけではカスタムアセットを使うにあたって物足りなくなる時がきっと来ます。

そもそも、サブスクライブした車両が多くなってくると、路線に目的の車両を走らせることに相当時間がかかります。なぜなら車両を選択するために、バニラ車両を含めた全ての車両が並んだリストから選択する必要があるからです。CCPを含めて、バニラ車両の数もそれなりに増えていますから、リストから目的の車両がどれか探すにはそれなりの時間がかかるでしょう。

まぁこれだけなら我慢できるかもしれません。次はどうでしょうか。

例えば都市間バスを少ない台数で循環させる場合は分かりやすく問題が起こります。その問題とは、路線が長いと車両を1台だけで走らせられない場合があることです。バニラでは、車両の台数は予算並びに車両配分パロメーターによって変動させることができます。ところが両パロメーターはパーセンテージであり、どれだけ頑張っても、鉄道予算を50%、車両配分を5%、つまり通常の車両出現数の1/40に減らすことが限界です。車両の出現数は路線長によって変動する仕様であることから、ある一定の路線長を超えると車庫から複数台車両から出ていくでしょう。筆者の環境ではバスの路線長が20kmを超えると2台以上になってしまうことが確認できました。単線なら総延長が20kmには達しないでしょうが(81Tilesの辺の長さ:約18kmより長い)、環状線となると話は別です。参考までに、大阪環状線は約22km、山手線は約35kmとなるため、マップを丸ごと循環するバスを作ることは難しいでしょう。(なお各公共交通機関ごとに既定の台数は違い、電車の場合は路線長800km程度まで1両で運行できる(検証なし))。

また「車両の出現数は路線長によって変動する」ことに着目しましょう。この機能のおかげで通常のシミュレーションでは路線長が伸びた際に自動で車両が増えます。都市がパンクしづらいので嬉しいわけですが、裏を返せば、車両同士の渋滞によってシミュレーションや景観に影響が出てしまう可能性があります。

他にも問題があります。例えば同じ路線に複数種類の車両を走らせたいこともあるでしょう。しかしバニラでは複数の車両を同じ路線に走らせることができません。従って、バニラでは同じルートを通る複数の路線を設定する必要がありますが、そもそも面倒だったり、重ね合わせた路線の設定を変更することが難しかったりと、安全性や保守性に課題があります。

MODやカスタムアセットを不自由なく使える環境を整備することで、シミュレーションはもちろん景観もより目的に応じたものを目指すことができるため、バニラの交通システムはMODによって補強されて然るべき内容でした。

概要

Improved Public Transport 2 は、BloodyPenguin氏によって公開された公共交通機関制御MODです。車両ごとの収支を確認したり、運行状況のより細かな確認が行えます。

例えば停留所では、市民の最大待機時間である退屈タイマーが確認でき、市民がどれだけ待たされているかが確認できます。

また、1つの路線に複数種類の車両を指定できたり、予算や台数管理専用パロメーターを無効にして具体的に何台走らせるか指定できたり、路線上を走っている車両を指定して路線から外すことができます。これなら、何台走らせるか予算パネルを見ながら調整する必要もありません。

その他、乗客数の上限、車両の運行コスト等パロメーターを上書きすることもできます。

TM:PEなどと連携すれば、さまざまな交通シミュレーションが実施できるでしょう。

他の公共交通制御MODとの比較

IPT2以外の交通制御MODとしては、Klyte45氏が開発されていたITMやTLMが挙げられるでしょう。IPT2はこの中でもっとも簡易に車両制御ができます。逆にITMやTLMの方が高度な機能をもっていますが、まず初心者はIPT2を選べばよいと思います。Klyte45氏は基本的にMOD開発から引退されているので、どちらもサポートが切れたか、切れかけています。ITMは操作などがそれ相応に難しいMODですから、まずはIPT2を使ってみて、IPT2に慣れた頃にITMに移行するのもよいと思います。TLMはこの中でもっとも複雑ですし、更新やサポートも切れているので、お勧めしません。

また、TrainSchedulerはIPT2と非互換性があるそうですから、ダイヤグラムを組みたい方はIPT2をサブスクライブしないようにしましょう。

BloodyPenguin氏の復活とIPT2の改良

本MODは作者であるBloodyPenguin氏から音沙汰がなくなったことで、非推奨なMODとなっていた経緯があります。今年4月、約1年ぶりに彼がMOD更新へと復帰されました。別の作者によって公開された本MODのFix版を使っている場合は、本MODへと移行してください。

さて、この活動復活を機に、本MODに2つの大きな変更が加えられました。車種の検索機能と、多言語対応です。

従来のIPT2では、バニラと同様に路線を走らせる車種をリストで指定していました。しかしバニラ車種も増えてきたこともあってか、車両の種類を指定するためのUIが大きく刷新され、車両を名前で検索できるようになりました。

 

そして、日本語を含む多くの言語への翻訳が追加され、IPT2は使いやすさに磨きがかかったと言えるでしょう。

終わりに

いかがだったでしょうか。

増加したバニラ車両やカスタムアセットたちを上手く使うためには、バニラの公共交通制御システムでは力不足になることも多いです。IPT2は、そのような需要にフィットしつつも、複数のMODをハードに使い込む状況にも対応し、景観と実務の両面から街を支えてくれるMODです。この機会にぜひサブスクライブをご検討ください。

Improved Public Transport 2 – Workshop