こんにちは。フォトコンテスト運営の神乃木リュウイチです。
今回は、先日実施したフォトコンテスト#3の優勝者、はなまるうどんさんにインタビューを行いましたので、その模様をお届けします。
はなまるうどんさんはフォトコンテストの第一回から参加いただき、第一回は3位、第二回は2位と順調に勝ち進んできた方で、下の2枚の画像には見覚えのある方も多いと思います。
第一回の入賞作品(3位)。
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第二回の入賞作品(2位)。
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そんなはなまるうどんさんですが今回は晴れて1位を獲得。早速インタビューに入っていきたいと思います。
記事の途中には、はなまるうどんさん直伝の「河川敷の作り方」をご紹介。さらには描画系MODの設定も教えて頂いたので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
そもそも「なぜ河川敷」を選んだのか?
まずは優勝おめでとうございます。受賞してみて、率直な気持ちを教えてください。
見せ方でも技術面でも今までの集大成的なスクリーンショットで、自分の中ではかなり時間を投じた1枚なので、それらが報われるような結果を頂けてとても嬉しいです!
そうなんですよね。今回の作品の風景は「河川敷」というありきたりな風景なのですが、その「ありきたり」を作るために様々な努力があったと思います。
そもそも、今回はなぜ「河川敷」というモチーフを「日常」のテーマにしようと考えたのですか?
これまでは花火など目立つオブジェクトや夕日といった光の使い方で差別化を意識していましたが、そういった表現は「日常」というテーマにそぐわないと思い、特別なモチーフや構図などは使わないという条件を自分で設けました。
確かに、前回の2枚は光の印象が強かったですね。1枚目は花火、2枚目は逆光。
ですね。その前提でのお話になりますが、日常とは「いつもと変わらない景色」なので、基本的には印象に残らないはずです。
そんな中で、河川敷とは「日常」に収まる範囲で非常に特別感のある存在であり、コンテストのテーマに従うことと感動を与えることを両立できる題材だと考え作成に至りました。
確かにそう言われると、「河川敷」って何かのドラマを感じやすい特別さと、普通にあちこちで見る日常の両方を併せ持っている気がします。ありきたりさと特別さのバランスをギリギリで取ろうとした結果が「河川敷」だったというわけですね。
これは毎回いろいろな方に聞いているのですが、今回の作品を作るにあたり「苦労した点」「難しい点」は何でしょうか?
やはり川と土手でしょうか。河川敷には「水」と「傾斜」というゲーム的に難しい要素が二つも含まれていて、少し尻込みする気持ちはありました。実際かなり苦労しながら今回のような表現に落ち着きましたが、学びも多かったです。
すでにいろいろな要素が出尽くしているように見えるこのゲームですが、「水」と「傾斜」だけは本当に永遠の課題ですよね。
特に河川敷の「土手」部分は、今まで見たことがあるようでないものだと思います。ぜひ作り方を教えていただきたいです。
はなまるうどん流・河川敷の作り方
というわけで、はなまるうどんさんに土手の作り方を教えていただきました。
スケールが大きくなりすぎないように、地面との高さに注意してください。
雑草Propは地形追従するように作られている場合が多いので、その場合はNon-Terrain Conforming Props(MOD)で生成した、地形追従しないPropを使います。 これをProcedural Objectsで斜面に合うように角度を変えて、下地に並べていきます。Propの幅や高さが大きすぎる場合はスケールも小さくしてください。ここでは下地に合うように色も調整しています。
特に、雑草Propと道・地面の境目がハッキリしていると不自然になりやすいので、背の低い小さめの樹木でグラデーションを作るように置いていきます。またここではTree Snappingを有効にしていますが、背の高い樹木やPropを使う選択肢もあります。
縁石を使って整備された様子を表現するのもアリだと思います。③と同様に草木がある部分と無い部分で境目がわかりやすいとチープになってしまうので、やはりグラデーションやムラを意識してみてください!
ここまでがはなまるうどんさんによる土手の作り方解説です。河川敷に限らず、鉄道の築堤などにも使えるテクニックだと思うので、覚えておいて損はなさそうですよね。
ぜひ写真を拡大して、作り込みの具合を観察してみると面白いと思います。
Cities: Skylinesの魅力と、次回コンテストに向けて
これもいろいろな方にお訊きしている質問ですが、はなまるうどんさんにとって、Cities: Skylinesの魅力とはなんでしょうか?
街づくりという題材において一番のクオリティを持ったゲームだと思います。もちろんそれはコミュニティの貢献によるところも非常に大きいですが、そうさせるだけの土壌がCities:Skylinesにあるのではないでしょうか。
アセットの数は間違いなく過去最大規模になっていますし、コミュニティの貢献というのは確かにそうですよね。
そのうえで、「大規模かつリアル寄りの街を手軽に作れる」「時間をかけてでも細部までこだわった街を作る」という2つの需要をどちらも満たせることが自分にとっての一番の魅力です。前者だけでは物足りなくなってしまうかもしれませんが、かといって後者だけではハードルが高く、ここまでハマれていなかったと思います。
鉄道、道路、歴史、自然……と、こだわれる部分がたくさんあって、それぞれの遊び方で遊べるという点は本当に素晴らしいゲームですよね。
では最後に、次回以降のコンテスト参加者にメッセージがあればお願いします。
もし街づくりでお悩みなら、現実の街をごくごく狭い範囲でもいいのでなるべく忠実に、それこそ雑草の生え方のようなところまで注目して再現してみてください。アイテムを必死に探したりMove ItやProcedural Objectsを駆使したりとあの手この手で再現に挑戦することで、ゲームにおける表現の幅を格段に引き上げてくれると思います。 加えて、普段の生活で認識できる物体には限界があり、注意して観察してみると「ここにフェンス置くんだ」「この機器は何のために設置しているのだろう」といったことがよくあります。そういった「自分は気付いていなかったけど実は存在するもの」を置くことで、リアリティがグッと上がり、街づくりの引き出しを増やしてくれるのではないでしょうか。
以上、今回のPC版部門優勝者のはなまるうどんさんへインタビューをさせていただきました。本当の意味での「自然な画」を作ることの難しさを感じる一方で、ここまで細かく追い込むことでこんなにもリアルな風景を作れるのかという感動を覚えました。
次回のコンテストは5月、テーマは「人工的」という一風変わったテーマになります。次回のご応募もお待ちしております。
おまけ:描画設定
今回のコンテンスト撮影用の風景について、描画設定も気になったので聞いておきました。教えてもらった設定は以下のとおりです。
- Cubemap Replacer : 8KDay3 (HDRI 2K Cubemap Pack)
- LUT:Relight2Natural
- PostProcessFX : Intensity 0.80/Threshold 0.60/Spread(上) 0.40 (すべて上段側)
- Relight : Contrast 0.25
- Ultimate Eyecandy : Latitude 35/Global light intensity 6.0/Ambient light intensity 1.3
- Shadow Strength Adjuster : 一番右から4段階左に
- Dynamic Resolution : 300%
- Render It! : Default/FXAA/Quality
- Sharp Textures : 既定値
ポイントは河川敷のキラキラ感を出すためにPostProcessFXで輝きを上げつつ、少し締めるためにRelightでコントラストを若干高くしているところでしょうか。今回は結構明るめの設定で、普段はUltimate Eyecandyを同じ順番で35/5.5/1/25くらいにしています。またLongitude(太陽光の横の向き)は川を挟んで左側が明るくなることを優先した値にしています。一通り挙げたつもりですが何かあればTwitterなどで聞いてください!
はなまるうどんさんはTwitterもやっているとのことなので、興味があればぜひフォローしてみるとよいと思います。また、Steamワークショップでは江ノ電関連の作品も公開中なので、こちらも要チェックですね。