こんにちは、がともです。フォトコン入賞者インタビュー最終回は、最多となる35作品もの応募があった日本風カテゴリーです。応募数もさることながら、どの作品もクオリティが高く「あ~こんな風景あるある」「エモい」と楽しませていただきました。
そんな日本風カテゴリーから、はなまるうどんさん、masaki_kimuraさん、osaru_san1さんにお話しを伺います。
「8月23日」 – はなまるうどんさん
はなまるうどんさん、3位入賞おめでとうございます!コンテストが終わって、今のお気持ちをお聞かせください。
ありがとうございます!入賞できたことももちろんですが、何より印象に残ることを意識していたので色々反響を頂けて嬉しい限りです。
「作品のポイント」「こだわった点」「苦労した点」を教えてください。
一番のこだわりはやはり照明ですね。照明Propを200個くらい置いて調整しています。昔アマチュアで舞台照明をやっていたこともあり、ついつい力を入れてしまいました。
まず気を付けたのは色温度のメリハリです。赤寄りを「暖色」、青寄りを「寒色」、そして自然光に近い電球そのままの光を「ナマ」などと呼びます。今回の場合、通行規制されていたり屋台が集まっている所は暖色、自動車が走っている所は寒色を基本として、華やかさを引き立たせるようLUTには暖色が活きるRelightWarmを使用しました。また花火の明るさと両立させるため、街の光は画面の下半分に集中させています。
これに加えて、光の反射を表現しようとProcedural Objectsで平らにした花火を水面ギリギリに複数設置していますが、画像にするとほとんど目立たないですね(笑)。でもよーく見ると発射台の周辺がうっすら明るくなっています。
数少ない夜の作品で、暗さと明るさの対比が素晴らしいと感じました。もともと昼に撮影する予定だった伺っていますが、夜に変わったことで屋台や花火以外にも改編した部分はありますか?
右側に鳥居と灯台のある島がありますが、ここは元々陸続きで手前にいくつかの工場が置かれていました。しかし夜にしたところ明るすぎて花火が目立たなくなってしまったため、思い切って無人島にしたという経緯があります。
先ほどの質問で花火以外の光を画面下に集中させているとお答えしましたが、もっと言えばそのほとんどは左側にあって、右側は真っ暗にならない程度に留めています。
直接的な水の表現は保険として置いた噴水だけで、他は「ほのめかす」にとどめているあたりに奥ゆかしさを感じました。例えば花火の打ち上げ台は水上を暗示していたり、タイトルも花火大会ではなく日付を用いたりとどこか想像力を掻き立てさせる遊び心の詰まった作品だと思います。この辺りは意識的にやられたのでしょうか?
そうですね。「花火があるから下は水!」という点はとりあえず気付いてもらうとして、あとは見つけてくれたらいいな~ぐらいのスタンスです。あえて説明せず、自分で発見した時に感動してもらうことを期待しました。
はなまるうどんさんにとってCities: Skylinesの魅力とはなんでしょうか?
リアルかつ大規模な街を手軽に開発できる事だと思います。今はジオラマプレイでチマチマやっていますが、ゲームを始めたときにハマったポイントはそこでした。
またあまり注目されませんがPropの概念があることも素晴らしいと思います。リアルな街開発を謳うゲームは他にもありますが、基本は建物と道路等のインフラで構成され、あとはせいぜい木を植えられるくらいです。でも、建物と道路の間に何も無いのは近くで見るとやっぱり不自然なんですよね。それがこのゲームだとフェンスや看板や自動販売機を設置できるんです。
マクロな視点でもミクロな視点でもリアリティを追及できる、本当に素晴らしいゲームだと思います。
実は、はなまるうどんさんは海外風カテゴリーと日本風カテゴリーの両部門でファイナルまで残った唯一の市長です。
2枚とも印象的だなぁと思っていたのですが、経歴を聞いて納得です。本作品は舞台照明の経験を活かした作品になっているとのことで、光の魔術師っぷりがより際立っていますね。
はなまるうどんさん、ありがとうございました。
「暁光に映える棚田」 – masaki_kimuraさん
masaki_kimuraさん、2位入賞おめでとうございます!コンテストが終わって、今のお気持ちをお聞かせください。
まずコンテストに一般投票で参加しコンテストを盛り上げて頂いた皆様、作品を投稿して素晴らしいインスピレーションを与えて頂いた皆様、そしてタイトなスケジュールにも関わらずコンテストの運営をして頂いた皆様に感謝を申し上げます。率直な感想として、2位という順位に関係なく、素晴らしい作品たちの中で、街づくりの巧拙を競いあえたこと自体に誇りに思いました。一つだけ残念だったことは、受賞時のボイスインタビューで音声がうまく接続できなかったことです。次回の機会がありましたら、準備万端で望みたいと思います。
次回もお待ちしております(笑)
改めて「作品のポイント」「こだわった点」「苦労した点」を教えてください。
棚田というのはそれ自体をテーマにしたフォトコンテストが開催されるほど、モチーフとしてはポピュラーな素材ですが、いわゆる写真スポットではなく、地元の人だけが知っている絶景ポイントの表現を目指しました。その中でこだわったのは、いかに棚田を光らせるかという部分です。普通に水を貼っただけでは波が発生してしまい、それによって光が拡散されてしまいます。そのため、ワークショップで鏡面反射が施されている池のアセットを見つけ、それに直接太陽の光を反射させるようにしました。最終的な構図を決定し、様々なエフェクトを施したところ、パソコンが(おそらく熱暴走によって)クラッシュするという事態が頻発するようになり、相当数のやり直しが発生してしまいました。満足いくスクリーンショットが撮れるまで丸一日くらいかかったように思えます。苦労の甲斐あって2位入賞までいただくことができ、今となってはいい思い出です。
棚田作成は根気を求められますね。特にProcedural Objectを利用して作成するのはさぞかし苦労されたものと思います。水田は田植えから稲刈りまで季節によって様子が変わりますが、水を張った時期を選んだ理由があれば教えてください
この季節を選んだ理由は、ひとえに”水”というテーマに対して真摯に向き合った結果です。水を張った水田というのは、様々な表情を映し出すことができ、一発勝負のフォトコンテストに投稿する素材としては一番適していると思いました。今回は、朝日に照らされて神々しい感じを表現してみましたが、時間帯を少し変えて夜明け前にするだけで、全く違った趣を醸し出すことができます。これらはやはり日本人の心象風景の中に、水田とそれに紐づく様々な思い出が深く刻み込まれているからだと思います。
鏡面反射を計算して池アセットで表現したということは、はじめから撮りたい画というのがきまっていたということですね。そう考えると向こうに見える稜線がいい味をだしていますね。それ用にマップを自作したのでしょうか?
マップは自作ではなく、ワークショップにある広島県再現マップを使わせてもらっています。遠景に見える島々に関しては、造成することなくそのまま使用しています。棚田のモチーフ手前、カメラの配置してある小高い丘と、棚田の奥にある薄っすらと五重の塔が乗っている山の稜線のみが今回造成した部分です。手前の丘は左上から右下への線にになるように、奥の山の稜線は右上から左下への線になるようにして、構図的にまとまりを持たせました。今回は特定のモデルを参考にして作ったわけではないですが、棚田の作成に当たり、様々な棚田の写真を見て綺麗に見えるポイントを研究しました。
masaki_kimuraさんにとってCities: Skylinesの魅力とはなんでしょうか?
今回作った街は、住民が一人もおらず、で画面に映っているところ以外は全く手つかずの状態となっていますが、このように本来の遊び方から全く外れたことをしても十分楽しめるくらい、幅の広い遊び方ができるところが、Cities: Skylines の魅力だと思います。人口100万人を目指すもよし、ジャンクションの造作に興じるもよし、PS4やバニラプレイで制約条件をアイデアで打開するもよし。もし、これから Cities: Skylines をはじめる、もしくははじめたばかりだという人は、ぜひともこのゲームの中で自分なりの楽しみ方を見つけることをオススメします。
すばらしい棚田は、 現実の写真からきれいに見えるポイントを研究された成果というわけですね。圧倒的な観察眼と考察力が作品を支えているんだな、ということがよくわかりました。
masaki_kimuraさん、ありがとうございました!
「海峡の街」 – osaru_san1さん
saru_san1さん、グランプリ獲得おめでとうございます!今の率直なご意見をお聞かせください。
優勝を知った瞬間は変な汗が出たと同時に非常に嬉しかったです。
改めて「作品のポイント」「こだわった点」「苦労した点」を教えてください!
「神は細部に宿る」という言葉を実践し、スクリーンショットでは移らないようなディテールに特にこだわりました。また、全体の構図をよく見せるために何十枚とスクリーンショットを撮り直しました。
海峡を越える橋はもちろんですが「高架下の自動車学校」や「変電所」、「貨物線?」など細部までこだわられていて、ウォーリーを探せのように楽しみました(笑) 一番のお気に入りスポットがあれば教えてください。
ひとつを絞るのは難しいですが個人的なお気に入りは「高架下の自動車学校」です。坂道発進やS字カーブのコースなど画像では見えない細部にまでこだわりました。
普段から街づくりで意識していることがあれば教えてください。
リアリティの追及を常に意識しています。発売当初から日本の街作りを一貫して行っていますが、最近はリアルな日本のアセットがたくさん増えてきていて飽きる暇がありません笑。これからもどこかにありそうなリアルな日本の風景を作り続けたいと思っています。
osaru_san1さんにとってCities: Skylinesの魅力とはなんでしょうか?
Cities Skylinesは単なるゲームではなくリアルな都市モデリング・シミュレーションツールとして遊べることが最大の魅力です。スーパーファミコンのシムシティからプレイしている世代なのですが、CSLは自分の中で過去最高の都市開発ゲームです。(次点はシムシティ4)
話は変わりますが、今回のコンテストをきっかけにアセット作りも始めました。今後、日本の送電線や変電所、建物をリリースして行きたいと思っています。また、Twitterにもスクリーンショットを色々あげていますのでよろしくお願いします。(宣伝みたいになってしまいすみません)
第2弾のコンテストも心待ちにしています。(次回は4K画像も可にしてください笑)
いただいたスクリーンショットはどれも現実と言われてもわからないレベル。 それだけ日常というか生活感を感じられる街並みでした。
今回の優勝をきっかけにアセット作成も始められたとのことで、気になる方は是非チェックしてみてください。
おさるさんのワークショップアイテム
https://steamcommunity.com/profiles/76561198337674325/myworkshopfiles/
3週にわたりお届けしてきた入賞者インタビューいかがでしたか? どのカテゴリーも、入賞した方々は街づくりの熱量がすごかったですね。それだけ情熱を傾けるからこそ素晴らしい作品になるんだなと改めて感じました。
中には街づくりや構図のヒントを語ってくださった方もいらっしゃいます。これらが少しでも皆様の街づくりの参考になれば幸いです。
最後になりますがインタビューに応じてくださった
日本風カテゴリー「osaru_san1さん」「masaki_kimuraさん」「はなまるうどんさん」
海外風カテゴリー「Canoさん」「Takashouさん」「AquaBlueSky747さん」
コンソール版カテゴリー「higumaさん」「Masa Osaさん」「RKSGLOVEさん」
ありがとうございました。