第五回フォトコンテストにご応募いただいた作品の中から惜しくも最終に残れなかった作品に対して、作品の優れた点、改善点を審査委員より挙げてもらいました。コンソール版はピーポー、PC版は神乃木が担当しています。今後の参考にしてみてください。
なお、応募時に講評を希望しなかった作品と一次審査を通過した作品は省いています。
極光と湖畔
作品紹介
今回「自然」という事で、人工的な光を一切排除してのものを作りました。
イメージはオリンピックナショナルパーク、御射鹿池等です
山肌のゴツゴツ感、山の遠近、木の生やし方等気を付けましたが、暗くなると目を凝らさないと分からないです。
が、そこをあえてじっくり凝らして見てもらって、評価して頂けると幸いです。
講評
コンテストの性質上、画面が暗い作品は評価されづらい中での意欲作だったと思います。暗く、静かで落ち着いた雰囲気はとても心地よく、観れば観るほど引き込まれていくような作品です。暗い中でも遠近感はしっかり出せているので、これにプラスして月やオーロラなどのモチーフがあれば、もっと多くの人の目にとまったのではないかと思います。
大航海の終焉
作品紹介
長い航海を経てようやく陸地が見えてきた。どうやらそこは今まで見たことがない文明が栄えているようだ…
水も塩も食料も尽き、死を待つしかなかった海の男たちの旅も、これでようやく終わる。
講評
水の表現が入った作品は数あれど、航海を描いたものは他になく素晴らしい発想力です。水上施設の柵の角を船首に見立てる技法もコンソールならではだと思います。一方で画面の半分を占める空の描写については、もっと拘ることができたのではないでしょうか。朝方であれば終わりの見えない船旅のゴールを暗示できますし、雷雨であれば自然の脅威を表現できます。是非とも天気や時間経過をONにして、お気に入りの一枚を狙ってみてほしいです。また、DLCのナチュラルディザスターがあれば、津波を起こすことができるので、上記の雷雨と組み合わせてより力強い自然を表現することもできそうですね。
湖畔で眺める名月
作品紹介
季節は初秋、夏は終わりに差し掛かり少しずつ気温が下がる中、街灯だけが灯る人里離れた湖畔から、中秋の名月を眺める様子を描きました。
講評
「極光と湖畔」同様、暗めの落ち着いた雰囲気の意欲作です。「中秋の名月」という題材のチョイスも季節感をしっかり捉えていてグッドです。月の美しさを上手く表現した作品ですが、暗すぎて手前の木々と奥の山との遠近感がなく、全体的にのっぺりした印象を与えてしまっています。時間帯の調整や、遠近感のなさを逆手に取った新たな表現など、何かもう一工夫があれば入賞にぐっと近づくと思います。
唐突な木のシャワー!?
作品紹介
それは突然やってきた。大自然の驚異か!?
木がふわりと持ち上がり今まさに落ちてこようとしているのだ
奥にはあやしい影も見え隠れ。
居合わせた兵士が避難誘導をする中、逃げるタクシー、必死に逃げる自転車。
慌てて撮影されたと思われる色褪せ気味の写真。
写真を撮った者は逃げ切れたのか。
この後この場所がどうなったのか…彼らは無事だったのか…
それを知るものはいない。 何て雰囲気が出せてたら良いなと作りました!
講評
バグを逆手に取った災害風の写真はインパクトがあり面白い着眼点だと思います。その一方で、このバグ自体が結構昔からあるバグである(目新しくない)ことや、木の部分の面積が大きすぎるがゆえに、何が起きているかパット見で分かりづらく、それが一次審査落ちになってしまったのではないかと思います。広角を使って立体感を出す、人にもっと寄るなど、構図に工夫(主題の取捨選択)が重要ですね。
遭遇!砂クジラ!!
作品紹介
体長1000mを超える巨大生物「砂クジラ」に遭遇した探検隊一行。
無事、この局面を乗り越えることができるのか!?
講評
まずパット見で不思議なのは写真の左右にある黒い部分です。これがどういう意味なのか理解できず、そのまま「いびつな写真」として認識されてしまったケースが残念ながらそれなりにありそうです。飛行船にもっと寄った上で、眼下もしくは目前に迫るクジラを撮影することで、より迫力のある一枚にできたかと思います。
向日陰
作品紹介
特に、何かあるわけではないので、思い思いに何か感じていただけたら幸いです。
講評
作品には何らかの意味やテーマを込めることがほとんどですし、それを見たユーザーは何かしらの感銘や示唆、考えることなどを得て帰っていきます。ユーザーはそれを楽しみに数々の写真を見に来るわけで、そこで作者から「特に何かあるわけではない」と書かれてしまうと、ユーザーからすると「何だ。何も面白いものはないな」と思い、それ以上その作品について詳しく見たり、リアクションしたりはしなくなります。
今回の作品であれば「植木の保全をしている人々」が主題だと思うので、せめて「自然を大切に」等のメッセージを添えると、よりよい1枚になったかと思います。
よし、ここへドライブに行こう!
作品紹介
今回は実際にドライブ中に出会った海岸沿いの風景を参考に作りました。地球の歴史を感じさせる地層と海のコラボレーションです。壮大さを感じるとともに自然の美しさに癒されました。
このように観光で、または道中思いがけない絶景と出会うことで癒されたことは数知れません。
しかしながらテレビやsns等で紹介されたから見に行きたい!と思うこともまた自然な流れだと思うのです。さぁ、テレビでも見て目的地を決めましょう。
講評
テレビの画面風のテロップ類をPOで作るというアイデアは非常に面白いし可能性があると思いました。テレビや景色を実在のものにしてみたほうが、よりリアリティをもって受け入れられたのではないかと感じています。
自然に還る場所
作品紹介
人工物が大半のCSLにおいて、自然というテーマでどう魅せるか考えました。人々が生涯を終え、自然に還る場所という意味での寺院と霊園。坂道と石垣、塀が織りなす美しさが皆様の目に留まれば幸いです。
講評
題材が複数にばらけてしまった結果、うまく主題が伝わりにくい写真になってしまった感があります。例えばおなじ「死」をモチーフにしたとき、人工感満載の立派な墓と、盛り土に十字架を差しただけの簡素な墓の対比を描いてみるとか、何かしら比較対照するものを主題に据えると、奥行きのある写真になると思われます。望遠レンズの利用も検討しても良いでしょう。
夕暮れの都市公園
作品紹介
現在作成中の都市に自然あふれる公園を作ってみました。都会のど真ん中にあるスタジアムを併設した緑のオアシスです。夕暮れにしたのはただの好みです。今は小規模ですが、いずれは行政機関や学術施設を備えた大規模公園になる予定です。手つかずの大自然も悪くないですが、人間の手によって作られた自然も悪くないのでは?
講評
人間の手によって作られた自然も悪くないのでは、という点には賛成です。ただ、人間の手によって造られたのであれば人間が写真に写り込んでいるべきであり、人と自然が調和しているさまを写真にしないと説得力が下がってしまう気がします。また「夕焼けにしたのは好み」と記載がありましたが、好み・意味がない・なんとなくといったフレーズは見る人にネガティブなイメージを与えるので、次回以降は使わないほうが吉です。