映画さながらのセットを組んでコンテスト1位入賞! CSL Contest #5 PC版グランプリ受賞者インタビュー

映画さながらのセットを組んでコンテスト1位入賞! CSL Contest #5 PC版グランプリ受賞者インタビュー

こんにちは、CSL Contest #5 審査員長の神乃木リュウイチです。

今回はCSL Contest #5のPC版グランプリ受賞者のMASAKIさんに、この作品が生まれた経緯やシーンの作り方についてインタビューをさせていただきましたので、その模様を皆さんにお伝えしていきたいと思います。

MASAKIさん、よろしくお願いいたします。

よろしくお願いします。

早速、今回1位を受賞されたときの感想を教えていただきたいのですが、どうでしょう? ぶっちゃけ入賞すると思っていましたか?

前回の第4回コンテストのときは入賞できなかったということもあり、今回は入賞を目標としていました。
ただ、自分の他に素晴らしい作品がたくさんあり、予想していた4位5位辺りで呼ばれなかったので、正直今回も厳しいかな~と……。

自分的には4位、5位の入賞予想だったのですね。でも実際には1位でした。驚きました?

はい、グランプリの画面に自分の写真が表示されたときは本当にびっくりしました。
他の方もおっしゃられていますが、昨今のフォトコンのレベルの向上は凄まじいですね。
ファイナルに残った作品の中では、どれが入賞してもおかしくないように思えました。
そのような中で、自分の作品を選んでいただいたことは本当に有難いことだと思います。

いえいえ。今まで何度も投稿されていたのはもちろん私も存じているのですが、今回の写真は今まで以上に素晴らしかったので、それが受賞に効いたのではないかと思います。

ありがとうございます。

ちなみに今回はどういったこだわりを持って作品を作られましたか?

「光」ですね。今回の作品は、天使の梯子と呼ばれる”光芒”を表現したくて、いろいろと試行錯誤を行いました。
SunShaft MOD を使用するとある程度の表現は可能なのですが、どうしても自分の納得のいく
形にすることができず、最終的には、Custom Effect Loader をベースにしたスポットライトを
自作することで、なんとか納得のいく形に持っていくことができました。

スポットライトを自作!?

はい、下の写真を見ていただければわかると思います。

おおお……これはさながら映画のセットですね。Instagramのアカウントで映画のワンシーンの撮影方法を記したアカウントがあると最近Twitterでバズりましたが、まさにその技法と一緒ですね。

そうですね。まさにそんな感じで、細長いスポットライトを森の上にいくつも配置し、木漏れ日に見えるようにしています。余計な光を排除するため、深夜の真っ暗闇の中にモデルを配置しています。

これはもう光の魔術師を言っても過言ではないですね……。ちなみに、何か参考にしたものはあるのですか? それこそ映画の技法とかも含め。

色彩の初期イメージは、Ghost of Tsushima というゲームをベースとしています。
このゲームは、日本の四季が圧倒的な美しさで描かれており、”自然”という今回のテーマに対して、うまくマッチするのではないかと考えました。
地面は紅葉の落ち葉によって真っ赤に燃え上がり、頭上に咲き乱れる銀杏は神々しく輝いている……そのような情熱的なシーンを描き切ることを最終目標としました。
また、落ち葉が舞い降りている光景も重要で、これによって止まっている写真の中に
時の流れを感じ取ることができるようになります。

今回の作品の発想の原点となったゲーム「Ghost of Tsushima」より引用

確かに、Ghost of Tsushimaを題材にしたと言われると納得できるものがあります! 5年前のPCゲームでPS4ハードの描写力に迫るというのは並大抵のことではないですが、それを見事にやってのけるところが凄いですね。
色彩や陰影もかなり触っていますよね?

はい。LUT は RelightWarm を使用しており、全体的に暖色が支配的になるようにしています。
Relight MOD による色調調整はガンマを中心に行っており、「現実的ではない」ように見える不自然な値を設定しています。

微細な影を演出するためにこだわり抜いた。

それに、通常のCGレンダリングによる陰影表現では、色相の変化が付けられず色合いが単調なりがちなんです。
そのため、右と奥に青色のライトを配置し、陰の部分にほんのり青色が乗るようにしています。
この作品が絵画のように見えるのは、この効果によるところが大きいですね。

確かに。右側の色合いが一目瞭然ですね。写実的に見えるのは左だと思うのですが、感性に訴えかけてくるのは間違いなく右側です。暖色と寒色が見事に調和していますね。

ありがとうございます。

というわけで今回は発想、そして演出、それを裏打ちする技術と非常にレベルの高いものを見させていただいたわけですが、最後に一言、今後コンテストに応募される方向けにメッセージをお願いできますか?

はい、最近はアセットクリエーター様の尽力により様々なアセットが公開されているので、以前に比べて比較的容易に見栄えのする都市を作ることができるようになったと思います。
また、CSL Contest の Web サイトには街づくりを行う上で役に立つ情報が掲載されています。
それらをうまく活用すれば、きっと理想とする街並みに近づけるのではないかなと思います。

ありがとうございます。この度はグランプリ受賞、本当におめでとうございました!

編集後記

以上、MASAKIさんへのインタビュー記事をお送りいたしました。

フォトコンテストを制するための要素は様々なものがあります。例えばカメラワーク(構図)、アセットの配置などの技術的なもの、更には主題、時刻、光といった演出的なもの、そしてそこからにじみ出るメッセージ性。こういった要素をそれぞれ高いレベルでクリアしていくことで、今回のように様々な人の心に刺さる1枚を描き出すことができたのではないかと感じました。

特に光の表現を行うためにアセットを自作するというのは、このゲームのPC版ならではの技法です。アセットの作り方は動画での解説もありますし、Cities: SkylinesのDiscordでもノウハウが共有されているので、これを期に興味を持った方はぜひそちらも見てみると良いと思います。