作品講評 PC版

作品講評 PC版

「人工的 – Artificial」をテーマにした作品に対し、審査員からの講評を記載しました。今回からはPC版カテゴリーに応募のあった作品を対象としています。

第4回フォトコンテスト概要

休神日

作品紹介
“一年に一回の参拝休止日。いつもは人が手を清めるが、今日は神が体を清める日。今回のテーマが「人工的」なので、前から作ってみたかったものを作りつつ、テーマを自己解釈したものを作りました。”

良かった点

本当に独創的な世界で、隅々まで見たくなる絵作りです。またPO等を駆使してあらゆるパーツを作り込んで行く技術も非常に高いこともポイントです。

改善できる点

真ん中の御神体? らしきものが主題であることはわかるものの、左右の木、よく見ると見える像、奥の金魚等、モチーフとなるものが多すぎるが故に中心部への視線誘導が上手く行っていない感触があります。望遠を使う、構図を変える等して、一番見せたいものに視線が行く工夫を試してみてください。

ハーバーアイランド −緑溢れる人工島

作品紹介
“人工島=埋立地。コンテナ埠頭と物流倉庫、集合住宅や高層マンションなどの居住区が開発され、公園や緑地など環境に配慮された整備が進む。”

良かった点

北側に山が見えること、写真のタイトル等からも神戸のポートアイランドをモチーフにしたと思われますし、その雰囲気がよく出ています。埋立地にありがちな人工的な緑なども上手く表現されています。

改善できる点

テーマ的には、人工的=人工島というモチーフが少々弱すぎた説があります。写真単体に見ると、写真を撮っている位置が道路の上である点がリアリティを押し下げている感じがするので、歩道やマンションの上等、あえて人が立ち入れる位置からしか撮らないという制約を加えてみると、写真単体での説得力が増すと思います。

造られた高低差

作品紹介
“コンセプトは「高低差」です。道路に、住宅に、コンクリート壁に仕切られることで生み出される高さは、人の手が加わったからこそのものだと思います。
さらにテーマである「人工的」が人の手が加えられたものすべてを指すとするならば、手入れの行き届いた緑地だって人工的だろうと考え、写真に組み込むことにしました。”

良かった点

非常に作り込まれた一枚だと思います。地形操作がpoorなこのゲームで、よくここまで地形を作り込めたなという感嘆がまずひとつ。また、あえて人や車を登場させないことで醸し出す人造感も素晴らしいと思います。まさに開発中の区画で、奥に建設中の建物が見えるのも良いですね。

改善できる点

どれだけ努力して盛り土をしても雑草は生えてきますし、草の部分には濃淡が絶対に生じてきます。汚れデカール等をもっと使ってあげることで、逆に人が作っている感が出てくると思います。現状だと綺麗すぎるがゆえ「人造感」よりも「無機感」のほうが勝ってしまっている感じがしました。

鉄道模型ジオラマを作ってみた!

作品紹介
“狭いレイアウトの中に単線の線路を敷いて
鉄橋とトンネルを作り小さな街や田んぼも並木道も…と欲張って。
なんて感じの人工的な鉄道模型ジオラマを表現してみました。
フォトコンテストでこういう引きの画像は少ないなと。
ジオラマっぽく見えるよう色味を弄ったり空を隠したり。
わざとらしく見えたらいいなぁと作りました。”

良かった点

ありそうでなかった本当に素晴らしい作品だと思いました。「ジオラマプレイ」という単語は最近良く聞きますが、本当の意味でジオラマづくりに取り組んだ作品は初めてです。大昔にやったジオラマづくりを思い出しながら、この部分はどう作ればいいかな……と想像しながら楽しみました。入賞おめでとうございます。

改善できる点

生放送でも言及しましたが、周りが海になっているのがジオラマとしては本当に惜しい。ここは板等をPOして「机の上にある感」を出しつつ、マグカップ等が隣にある、大きな人が奥に見えるといった、「ジオラマが建物内に存在している」感が出せたら最高だったと思います。

ルミナスワールド

作品紹介
“modのLight Trailを使って撮影しました。
長時間露光を使ったバエ狙いの一枚。
輝く街並みをお楽しみいただければ幸いです。
乗り物や人の動き、照明の点き方などで同じ定点写真でも毎回変わるので、終わるまでどう写っているのかわからないのがホントの露光写真っぽいかも。”

良かった点

本当に美しすぎる1枚です。入賞おめでとうございます。きらびやかな色彩もさることながら、近未来的な建物のセレクトと配置も素晴らしいです。その上で、奥から手前にかけての視線誘導の巧みさなど、芸術面・技術面共に高いセンスを伺わせる1枚です。

改善できる点

テーマとのマッチ度で恐らく上位入賞を取り逃した作品だとは思う一方、これをより「人工的」に近づけるアイデアが思い浮かびません。別テーマや別コンクールに出せば優勝を狙えた作品だと思いました。引き続きの挑戦をお待ちしております。

迫りくる再開発

作品紹介
“人工的と聞いて業者によっておしゃれにきれいに再開発された街が思い起こしました。有機的に形成された古い街並みが、再開発により新しい街に生まれ変わり、失われていく感じを表現してみました。昭和の古い街並みも大切にされてほしいなと思って作りました。”

良かった点

人工物vs自然物の構図は今回のコンテストで何度もみていますが、新しい人工物 vs 古い人工物の構図もまた良い、と感じさせる1枚です。駅前の古き良き風景が徐々に画一的なマンションに侵食される様は、見た目のインパクト以上に様々な感情を呼び起こしますね。良い題材だと思います。

改善できる点

駅があることがひと目ですぐに理解できなかったので、駅名部分に光が当たるように光源をコントロールしても良かったと思います。また、小物類もかなり作り込んでいる用に見えるものの、それが上手く写り込めていないのが残念。手前になるものほど作り込むようにすると、リアリティが増すと思います。

山岳路線を行く

作品紹介
“今回のテーマが人工的ということで、何を作るかがかなり迷ったのですが、山の中の鉄道という「自然の中の人工物」の対比の画を作ってみました。”

良かった点

自然を切り開いて作るものの象徴でもある「鉄道」を効果的な方法で写した一枚。奥ののどかな風景と近代的な電車が、山の向こうの都市化を彷彿させます。光の入り具合など、ドラマチックに見える演出もGood.

改善できる点

私だったらこの風景はもう少し望遠にして上空から撮っていたと思います。広角は情報の取捨選択が難しく、主題(この場合は電車)がぼやけがちです。家と電車の両方を魅せたかった結果だとは思いますが、どちらかに集中した構図にすることでよりインパクトある1枚になったと思います。あと橋脚はバニラではなく別なものを利用しましょう。


講評記載者:神乃木リュウイチ
※講評に対する個別の問い合わせは受け付けておりません。