第4回フォトコンでは新たな試みとして 審査員による講評 を受け付けたところ、うれしいことに37作品が講評を希望してくれました。今回から約7作品ずつ、「よかった点」「悪かった点」について審査員からの講評を紹介します。この講評がすべてではありませんが、今後の街づくり、作品作りの参考にしてみてください。
初回ではコンソール版から7作品を見ていきましょう。
海を見下ろすかざぐるま
作品紹介
「人工的」というテーマを聞いて「自然の中にある人工物」というイメージが湧きました。
青い空、緑の丘、そよぐ風、そこに立つ白いかざぐるま。その前を向いて風を受ける姿に今日も勇気をもらいます。
良かった点
写真を見ただけで風が吹いてきそうな清々しさと青空が爽やかな気持ちにしてくれます。今回のコンテストのキーでもある「自然の中の人工物」を上手く表現していると思います。
改善できる点
構図では、右上の発電機が見切れてしまっているのが惜しい。また、空の色も夕焼けにする、雲を増やすなど、空を主体にするからにはこだわってみると良いかもしれません。
上空から
作品紹介
元々あった空港をコンテスト用に作り直したものです。
良かった点
空港が非常にきれいに作り込まれており、飛行機とのツーショットもタイミングよく撮れています。構図もバッチリで、空港も飛行機もよく引き立っています。
改善できる点
「これは人工物だ」と意識するのが難しい。嵐や曇りにすると、人工物が自然に立ち向かっている感じが引き立ったかと。また、Citiesの空港はデフォルメされているので、道路を歩行者パスにするなどすると自然になりそうです。
Artificial Reef
作品紹介
沈没した船が人工的なサンゴ礁になっている様子を水中で撮影。珊瑚が成長し、クジラなどの海洋生物が戻ってくることで、海洋生物の再生を願うシンボルとなっている。
良かった点
お気に入りの写真の一つです。水中で撮影できるコンソール版の強みをよく生かしていますし、モチーフもわかりやすい。クジラを泳がせるテクニックにも脱帽。構図もGood。入賞おめでとうございます。
改善できる点
もう少しサンゴ礁(木)や草を増やして風化を感じさせた上で、海洋生物の数も増やして「そこを生き物がねぐらにしている」感が出ると、よりドラマ性を感じたかもしれません。
過去から未来へ技術の継承
作品紹介
建築技術の知を集めて建てられた立派なお城。かつては、天守閣からの見晴らしがよく、街を一望できました。ところが、近代になると建築が向上し、お城の周りは高層ビルに囲まれるようになりました。高層ビルによって肩身の狭くなったお城ですが、今では技術の歴史を後世に伝える、大切な役割を担っています。
良かった点
夜景の写真として成立しており、月とのマッチングもGood。時間の流れに合わせてストーリーを組み立てて表現するという、フォトコンの基本がしっかり押さえられています。
改善できる点
城がどこにあるのかパット見でわからず(天守閣というので日本風の城を想像しがちですが、実際は洋風の城)、ビルと月だけが見えてしまっています。ビルとの距離を離す、城を手前に持ってくるなどの構図で工夫を。
Three Primary Colors
作品紹介
街に溶け込むありきたりな日常を撮りました。
良かった点
タイトルからわかるように、青・黄・緑の三原色がしっかり使われていてバランスよく仕上がっています。町並みもきれいで、近景から遠景まで写したいものをしっかり写せています。
改善できる点
「人工的」というテーマが連想しづらく、写真としての完成度が高くてもテーマ性を感じられない点が少し残念に感じました。何を持って人工的とするのかが説明できるように絵作りをすると良いと思います。
黄昏の黄金都市(エデン)
作品紹介
失われたと思われた古代都市が目の前に広がる。かつてのいにしえの人々が作りし島は黄金色に染まりくるう。一人の探検家は上流を目指すのであった。
良かった点
お気に入り写真の一つです。街が非常にきれいに作られており、さらに天を貫く光がどこかSFっぽさを漂わせています。真ん中に線を合わせるだけの技術力と努力もかなりのもの。
改善できる点
人工物=人工都市というモチーフが少し弱かったですかね。都市単体の画像は全員見慣れているだけに、切り取りの技術が求められると思います。個人的には好きな1枚なのですが……。
曇天の南浦大橋
作品紹介
上海の南浦大橋(なんぽたいきょう)を冬マップに作りました。
写真では分かりにくいかも知れないですが、ループの下に更にループを重ねています。これはコンソール版でのテクニック、「柱消し」を使用しております。
バランス、柱消し等苦戦しましたが、現実の大橋に寄せれたのではないかと思います。
良かった点
普段雪が降らない街に雪が降ったときの雰囲気がよく出ています。きっと路面は大混乱だろう、といった想像をかきたてる一枚ですね。現実世界ではよくあるもののCitiesでは難しい立体交差も美しくできています。街灯部分の温かみが良いコントラストをだしています。
改善できる点
こちらも、人工物=道路というモチーフに弱さを感じます。現実都市再現というのは「再現して終わり」ではなく、「再現した先に何を魅せるか」がポイントになってくるので、次回以降はぜひ現実再現+現実にはないものといったミックスを試してみると面白いのではないでしょうか。
講評記載者:神乃木リュウイチ
※講評に対する個別の問い合わせは受け付けておりません。