フォトコン#4 審査員によるテーマ考察と次回への期待

フォトコン#4 審査員によるテーマ考察と次回への期待

こんにちは、がともです。5月15日のグランプリ決定放送をもって第4回CSLフォトコンが終了しました。ご参加およびご視聴ありがとうございました。今回は、第4回大会で審査員を務めた神乃木さん、ピーポーさん、ぽちさん、suginokoさんに今大会の総評と次回大会に向けての期待を聞いてみました。

テーマ「人工的」について

まずは今回のテーマ「人工的」についての印象を教えてください。

当初、「人工的」というテーマを聞いたとき、えらく抽象的だなぁというのが第一印象でした。一方で、これまで「旅」や「日常」といった、割と具体的でイメージしやすいテーマが続いていたので、ここらで少しばかり挑戦的なテーマというのも悪くはないなと思っていましたね。

「人工的」は必ずと言ってもいいほどどこにでも身近に存在するテーマなので、初めて投稿する方でも非常に受け入れやすいテーマだなという印象でした。

第3回までは「日常」など具体的に想像しやすいシチュエーションをテーマとしており、制作者も考えやすく投票する側も作品間の比較がしやすい、優しめの印象でした。
特に投票者にとっては「あるある」といった共感を直感的に得やすかっとように思います。
転じて今回の「人工的」は、ある意味Cities:Skylinesで作れるすべてのもに当てはまるため、何をもって人工的を表現するかという思想的な部分と、それをいかに表現するかという発想力が求められたと思います。

今回のテーマ「人工的」は、今までの「旅」「日常」といった比較的簡単なテーマに対して、少し変化球を投げてみようという経緯で設定してみました。

これまで以上に幅広い解釈ができるテーマだったので、参加者の趣味嗜好が反映された作品が並んでいた印象でしたが、いつもと違うテーマで苦戦された方もいらっしゃったのでしょうか…(私はテーマ決めに関わっていた記憶がないので悪くないです)。

Cities: Skylinesで作る都市って、自分で作らなければ植物も増えないしスプロール現象が起きたりもしないので、究極的にすべてが「人工的」なんですよね。なので本ゲームにおける「人工的」は当たり前の状態と言えると思います。だからこそ、その「当たり前」をどう表現してくるか、それが楽しみでしたね。

結果としてはやはり「人工的」を表現するために「自然」を持ってくる傾向が多かったように思います。ただその自然の描き方も皆さんほんとうに多様で、審査している時間が一番楽しかったと思いましたね。良い意味で予想や期待を裏切ってくれる作品が多かったと思います。

今回はPC版の作品もコンソール版のような発想力が試されたのかなと感じました。
結果的にバラエティ豊かな作品に恵まれ、PC版もクオリティ以外で勝負できる裾野が広がったテーマだったかと思います。
具体的なテーマと抽象的なテーマを定期的に入れ替えて開催するのも面白いかもしれませんね。

各審査員賞の選定理由

審査員賞として選定した作品を紹介していただけますか。また、その作品の素晴らしい点を教えてください。

審査員賞として選んだのは、kazisさんの「ルミナスワールド」です。

ひと目見て綺麗なものだったというのも大きいですが、今回の作品の中で最も「『人工的』を人工物だけで表現する」ことを追求したように感じたためです。人工的な部分を表現するなら自然を描けば対比効果が上がるという手段が用意されていながら、あえて人工物だけを突き詰めた結果があの綺麗さなのだ、という、一種の究極系を見た気分になりましたね。

私が選んだのは、コンソール部門で2位入賞にも輝いた、Raparasaさんの「Salisbury SP4 7DE」です。

道路や建物を一切用いておらずゲーム的には邪道ですが、写真そのものはド王道で、シンプルに最も目を奪われた作品でした。本来自然なものである石プロップのみで「人工的」を表現しており、テーマの見方がユニークです。また、作品名がストーンヘンジの住所だったり、説明文がストーンヘンジにまつわる民話から引用されていたりと、遊び心もあって個人的に大好物でした。

私が選んだのはFuchsさんの「鉄道模型ジオラマを作ってみた!」です。

CitiesSkylinesは本質的に「人工的」である街をつくるゲームで、その中であえての「人工的」というテーマにどう向き合うか。この問いに対して、世界のすべてを人工的に再現する「ジオラマ」に見立ててしまうという二重性に舌を巻きました。
四辺を切り取りレイアウトもジオラマらしい高密度に配置することで、山の自然さえスポンジで再現した人工物に見えてしまう…ある意味Citisというゲームを究極的に濃縮した、とてもワクワクする作品でした。

私が選んだのは樺太人さんの「休日の立坑」です。

建築関連に携わった者のせいなのか最適化された配管や配線、しっかりと等間隔に配置させられた柱などが自然という広大なワールドで、決められたわずかなスペースに施設がひしめき合っている所がああまさに人の手で作られた非常に「人工的」な作品だなと目をうばわれてしまいました。

総評

今回のフォトコン全体を通しての感想をいただけますか。

テーマの印象でも述べましたが、抽象的なテーマに対して発想・表現ともにバラエティ豊かな作品の集まった、非常に濃いコンテストだったと思います。
前回までは表現のクオリティがどんどん高まっていく印象でしたが、今回は表現の幅が広がった回でした。

「人工的」というとても身近なテーマに対して思いもよらない独創的な発想が多く投稿されていて、新たな発見が見出され「人工的」というテーマでもこんなにも表現できるのだなと今回初めて審査する私でしたが非常に楽しく考えさせられたコンテストでした。

前回の振り返りコラムでは、作品に込めるメッセージや伝えたいことがレベルアップへの鍵になるのではという話をさせて頂きましたが、先述した通り、今回は幅広い解釈ができるテーマということもあってか、メッセージ性や伝えたいことが詰まった作品が多かったように思います。傾向としては、自然の中に存在している人工的を見いだしたものや、過去や未来といった時の流れに人工的を見いだしたものがいくつかあった印象です。また、人間の畏怖の念や、ゲームそのものの本質に着目したものなどバラエティに富んでいて、そんな素晴らしい作品たちに審査員として関わらせていただき本当にありがたい限りです。

結果的に、今回も「今まででみたことのないスタイルの都市」をたくさん見ることができ、大変満足しています。前回のコラムでも言及しましたが、アセットがいくら登場しても、それがオンリーワンでは無い以上(たまにオンリーワンのアセットを街に置いてるヤバい人もいますが)、誰が作っても似たような町並みになりがちなんですよね。
だからこそ私は、このコンテストにおける写真は「今までで見たことのないものをいかに見せてくれるか」を最重要視しています。その結果として、今回も非常に斬新、イノベーティブと言っても良い作品が大量に出てきたことに喜びを感じました。
作品の傾向としては、やはり人工物を引き立てるために自然を配置するものが多かったですが、「人工とは」「自然とは」を相当深く考えたであろう作品も多く面白かったです。

他方で、審査員特別賞に該当する作品を選べなかったのは残念に思います。今回は審査員特別賞候補となる作品は2つあったのですが、2つともそれぞれの理由で特別賞を逃しています。
審査員特別賞は、街づくりのリアリティや写実性ではなく、アイデアや革新性、ドラマといった、技術面以外の要素を特に重視しています。
次回こそは審査員特別賞が出せる作品が出てきたら良いな、と楽しみにしています。

参加者、視聴者に向けて一言

最後になりますが、参加者、視聴者に向けて一言お願いします。

今回応募を頂いた方、投票頂いた方、そして配信を視聴していただいた方の皆様に御礼を申し上げます。
次回でCSLコンテストも早いもので5回目になります。毎回新しい可能性を見せてくれるこのゲームですが、次回はどんな可能性を見せてくれるのでしょうか。今からワクワクが止まりません。

改めて、作品を応募してくださった皆様、そしてTwitter投票やグランプリ決定放送に参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。今回も無事にコンテストを終えることができ、内心ホッとしております。と、いつまでも感傷に浸っていたいのですが、既に次回のテーマが発表されてしまっています。次回のテーマは「自然」です。今回と対をなすようなテーマなワケですが、これもまた難しいですね…。まぁ、次回の開催は9月頃を予定していますので、まだ時間はあります。たくさん考えて、皆様が思う「自然」をCities: Skylinesで表現していただければと思っています。それでは。

抽象的なテーマに対してどうアプローチしていくか。そして、その結果生み出された数々の力作にどう投票するか。どちらも大変に頭を使う時間だったかと思います。制作者の皆さんや投票に参加いただいた皆さん、本当にお疲れさまでした。その分、いつもに増して濃いコンテストとなりました。ありがとうございます。
次回のテーマは「自然」。またまた抽象的ではありますが、今回のコンテストを超える素晴らしい作品が見られることを期待しています。

作品を投稿してくださった皆様そしてコンテストに参加、視聴してくださった皆様本当に最後までお疲れさまでした!
今回は仕事の都合でコンテストのインタビューに参加できず残念でしたが、後から視聴してみたところ皆さんが楽しんでコンテストは無事終了していたので安心しました。
次回のテーマは「人工的」とは全くの対称的な「自然」ですね。その「自然」をどのように皆さんが表現し、投稿していくのか非常に楽しみにしています。
そして今度こそコンテストに参加できるようにしていきたいと思います。(笑)


審査員の皆様、ご回答ありがとうございました。
大会の最終審査放送はこちらをご覧ください。

また、1次審査のTwitter投票はこちらにまとめていますので是非ご覧ください。
https://twitter.com/i/events/1391413029204492293?s=20


次回大会は「自然」をテーマに9月頃の開催を予定しています。詳細は決まり次第ツイッターアカウントまたはこちらのウェブサイトにてお知らせいたしますので、是非フォロー、ブックマークお願いいたします。
https://twitter.com/csl_contest