Cities: Skylines市長にオススメの参考書籍Part2

Cities: Skylines市長にオススメの参考書籍Part2

前回も書籍紹介をしたばかりだが、今回も書籍を紹介する。またか、という声が聞こえてきそうである。前回は様々な分野の話題を浅く広く取り扱ったが、今回は「都市計画」に絞った話である。

紹介するのは
伊藤雅春 他『都市計画とまちづくりがわかる本 第二版』彰国社、2017年

 

ド直球なタイトル通り都市計画にまつわる100項目のトピックについて論じられている。前半は「世界の都市計画史と思潮」「日本の都市計画史」「建築基準法の基礎知識」「現代都市計画の思潮」など見た目に現れる都市計画について。後半は「人口減少社会のまちづくり」「防災・復興まちづくり」「防犯のまちづくり」などテーマ別のまちづくりの特徴について述べられている。この本では都市計画を制度、まちづくりを運動と定義しており、CSLに活用しやすいのは前者であろう。そのため本稿では都市計画の部分を中心に紹介する。なお後半のまちづくりパートも、災害縛りプレイなどに活かせなくはないだろう、と申し添えておく。

紹介されている都市計画

本の中で紹介されている都市計画は海外のものだけでも28項目にものぼる。その一部を紹介する。

オースマンのパリ改造
オーウェンの理想工業村(ニュー・ラナーク)
ハワードの田園都市論
ペリーの近隣住区論
ラドバーン方式
グリーンベルト
イギリスのニュータウン
ル・コルビュジエのヴォアザン計画

などなど。一部、実質的には被っているものもあるがご容赦願いたい。

 

ニュータウン

我々日本人にとって特に馴染み深いトピックはニュータウンであろう。ニュータウンの一次構想は近隣住区論に基づいており、以下の要素からなる概念である。

  • 小学校やコミュニティセンターを中心とした地域コミュニティ
  • その外周に幹線道路を配し、通過交通をエリア内から排除する
  • 人口規模に応じた商店街をエリア内に有する
  • 住区のニーズに応じた小公園とレクリエーションスペースを配置する

近隣住区論のイメージ ※画像はパブリックドメインのものを使用

そしてこの構想は大阪の千里ニュータウンや東京の多摩ニュータウンなどにも影響を与えている。実際に見てみると、近隣住区論の特徴が現れている。

 千里ニュータウンの1区画。幹線道路に囲まれ、小学校を中心としたコミュニティがあることがわかる。

なお、完全に余談であるが千里にはタービン型インターチェンジ、モノレール駅、鉄道駅が存在し、交通面としても実におもしろい場所となっている。

 

ヴォアザン計画

馴染みの深い計画もあれば馴染みの薄い計画もある。フランスのル・コルビュジエが提唱した理想都市計画の一つがヴォアザン計画である。この計画では、巨大都市を田園都市のような緑あふれる姿で描いている。画像を見てもらった方が理解しやすいだろう。

ル・コルビュジエが提唱したヴォアザン計画 画像:(CC BY-SA 4.0) SiefkinDR

鉄道駅、高速道路を立体的に積層し、それを取り巻くように高層ビルが林立。その外側に中層住宅群、郊外に独立住宅や工業地域などを配置する。このような高層建築で効率的に人口を吸収し、緑地スペースを確保するというコンセプトであった。そのアイデアをパリ中心部に適用したのが「ヴォアザン計画」だ。この計画は実現しなかったものの、非常に夢のある話である。

 

日本の都市計画

当然ならが日本の都市計画についても論じられている。特に戦後の記述が厚く、法整備まで含めて論じられているのが面白い。まちづくり三法、景観法、建築基準法(接道義務・建ぺい率と容積率・高さ制限)など、神乃木さんのチュートリアルでも聞いたことがある内容まで語られている。他にも都市計画法とその関連法についても述べられており土地利用の制限などを学べる。正直なところこれらの法律は知らずともCSLをプレイできる。しかし、より深く知識を得ることで日本らしさを極めることができ、景観の説得力が増すだろう。

なお、古代から江戸時代については2ページに凝縮されているため、詳細に知りたい場合は他の書籍をあたるとよい。

神乃木さんのチュートリアル動画。一部ではあるが日本の法律について語られている。

 

おわりに

今回は都市計画をテーマにした書籍『都市計画とまちづくりがわかる本』を紹介した。この本の特徴として1トピック完結型になっているため、通しで読まなくても内容がスッと入ってくる。わざわざ知ってるトピックを読みたくない、忙しいCSL市長にはおすすめの一冊である。また、実現可否を問わず広く浅く都市計画を学ぶにはオススメの一冊である。みなさんも都市計画に基づいたまちづくりをやってみませんか?