冴えない田舎の作り方

冴えない田舎の作り方

こんにちは、がともです。私はCSLを始めてからというもの、生まれ育った田舎のような村を作成しようと関連資料を読み漁っています。

これまで調べた知識と、幼少の頃より田畑を駆け回った経験をもとにまとめた「冴えない田舎の作り方」をこの記事で紹介します。いわゆるよくある田舎をイメージしていただければと思います。なお、内陸出身であるため平野部というよりは盆地の集落をモデルに執筆します。

高地に集落、低地に農耕地

私たちの生活には昔から変わらず「水」が必要でした。我々が生命活動をするためはもちろんですが、弥生時代から稲作が普及し、さらに多くの水が必要になりました。しかし、当時の治水技術は未熟であり、河川は度々氾濫します。安心して住める場所を求め、水の恩恵を受けつつも水害を避けるという相反する条件を満たす場所を探すことになります。山際の緩斜面や台地上、自然堤防上の微高地に居を構えることで先人たちは解決しました。そして、水害に遭いやすい低地は農耕地として活用します。この、「微高地に集落、低地に農耕地」というスタイルが昔からの村の要素となるわけです。

ここで実在の集落を例に見てみましょう。

長野県伊那市にある山際の集落(出典:国土地理院ウェブサイト)

近くを流れる小川が氾濫しても、被害がない場所に村が位置しています。水の恩恵を受けつつも、水害を避けることができる居住に適した土地ですね。集落の低地側には水田が広がり、「微高地に集落、低地に農耕地」という形になっています。

CSLにおいてもこの配置を意識することで、以下のような村を作ることができます。

「微高地に集落、低地に農耕地」のコンセプトをCSLで再現した村

 

等高線に素直な道路

前述の通り、集落は山際に沿うように立地することが多く、それにつられて村のメインストリートも等高線に沿った形になりがちです。ここで先ほどの地図に再登場してもらいましょう。

(出典:国土地理院ウェブサイト)

中央に村を縦貫している細い道がありますが、これがかつてのメインストリートであったと思われます。並行して走る太い道路は後に新設された道路でしょうか。昇り降りする道(東西方向)は補助的に配置されているに留まっています。古くから存在する村は、このように等高線に沿った道路がメインになります。

例外として、等高線に逆らうような道をメインストリートに据える村もあります。このような村は少数派なので、町全体が単調になってきたなと感じた際のアクセントとして利用するとよいでしょう。例えば、小さな扇状地にできた村などが当てはまります。

また、”RPGのワールドマップ”のように村と村との間が空いていることが田舎では多々あります。CSLをプレイしていると道路の両サイドをキチキチに詰め込んでしまいがちですが、あえて建物を使わないというのも選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。田んぼ、畑、谷、山など、多種多様なチョイスができますよ。夜な夜な蛙のコンサートが開催されそうな田園風景を再現するというのも乙なものです。

家の特徴

地方は車社会ですから、どの家にも駐車スペースがあります。その形式は車庫であったり屋外であったり様々。いずれの場合でも道路に面した場所は駐車場になるので、住宅を設置したらMove Itでセットバックしてスペースを確保することをお勧めします。農家という設定であれば、一家に一台は軽トラを用意するとさらに雰囲気が増します。駐車スペースは砂利またはアスファルト舗装されていることが多いです。アスファルトであればSurface Painterでサーフェースを変更、砂利であれば神乃木さんの河原デカールで飾り付けするのがおすすめです。

河原デカールで庭を埋めたイメージ

また、玄関は必ずしも道路側に向いているとは限りません。ほとんどの家では低地向きまたは横向きになっています。これは、道路の低地側に建つ家であっても同様で、メインストリート側にわざわざ背を向けるケースもあります。災害時の避難経路確保や、玄関前に水や泥がたまることを避けるといった狙いがあります。また、斜面で玄関を設けると下(地下)に向けて家を作ることになり、それを嫌う人もいるためであると考えられます。

CSLでは道路向きに玄関が設置されてしまうので、こちらもMove Itを使って回転させてあげるとよいでしょう。ピンと来ていない方は、Googleストリートビューで村を練り歩いてみるとイメージしやすいかもしれません。

田んぼ

日本人と言えばお米。日本人の胃袋を支える田んぼは、私たちの原風景といっても過言ではないでしょう。美しい田んぼと言えば棚田ですが、実は日本の水田の約1割しかありません。残りは、なだらかな土地にキレイに区画整理された水田ということになります。今回はとかちさんの田んぼアセットを使う前提で話を進めます。

水路は田んぼに必須なアイテムですが、二種類あることをご存じでしょうか?一つは田んぼに水を張るための用水路。もう一つは田んぼから水を抜くための排水路です。田んぼはこまめに水を張ったり、抜いたりを繰り返します。そのため、二種類の水路を設けるとより現実に近づきます。用水・排水ともに田んぼアセットの水路を活用してもよいですが、スペースを節約したい場合は紺野さんの側溝付き道路を利用するのもおすすめです。

用水路と排水路を分けるとらしさが増します

さらにリアル志向の方は、それぞれの高さを調整するとなおGOOD。

田んぼまわりの高さの関係

おわりに

今回は山際の村を題材に、田舎を形成する要素を中心に紹介しました。何もない田舎であっても意外と多くの要素がちりばめられています。紹介したような村以外にも、高低差の激しい山奥の村、条里制によって碁盤目状に整備された村など、集落のパターンは様々です。地形とうまく付き合い、生活感を醸し出す田舎の開発は、都市部のそれと同じくらい楽しいものです。どこにでもあるようでここにしかない、あなただけの田舎を作ってみてはいかがでしょうか。この記事がその一助になれば幸いです。

記事で紹介したMOD/アセット

参考文献

久隆浩,柴田祐,嘉名光市,林田大作,坂井信行,篠原祥,松村 暢彦,永田宏和,宮崎ひろ志,下村泰彦,室崎千重.(2011) 都市・まちづくり学入門,日本:学芸出版社.