審査員振り返り フォトコン#5

審査員振り返り フォトコン#5

「自然」をテーマに開催された第五回フォトコン。街づくりゲームで自然を表現するという難しいテーマであるにも関わらず、素晴らしい作品に恵まれました。今回のコラムでは審査員の方々に感想・総評をいただきましたので紹介します。

フォトコンテストとは何ぞや?という方や見逃した方はこちらのリンクからご覧ください。

コンテストの概要

作品一覧

最終審査放送

審査委員長 神乃木リュウイチ

審査・運営お疲れさまでした。まずはテーマについてどういった印象をもったのかを教えてください。

前回が「人工的」で、自然と対照した作品が多かったため、今回も人工物との対照が多いかと思ってはいました。実際にもその傾向はあったものの、最終的に1位として選ばれたのが完全な自然だったので、そういう意味では期待と少し変わった部分がありました。

今回のコンテストでは、既に常連と化している方々の傾向がかなり見えてきたように感じますし、同じような作風でも回によって票数に大きく差が出ているところが見ていて興味深いと感じましたね。

神乃木さんは審査員賞としてMASAKIさんの「神々の神域」を選定しましたが、その選定理由を教えてください。

ひと目みて「圧巻」の作品でした。Twitter投票でも圧倒的多数の得票率を集めましたが、それもひとえにビジュアルの美しさによるものが大きいと思います。
様々な色が美しい一方、都市もかなり近未来的・人工的な都市として作られており、まさしく本テーマのために作られた都市といえるでしょう。

コンソール版で印象に残った作品はありますか?

コンソール版では「風に吹かれて」がとても印象深かったです。

Cities: Skylines_20210609085016

よくある街の写真といえばそうなのですが、構図としてしっかり完成されていますし、光の扱い方もきれいにまとまっている。街も緑が多く、万人受けしやすい絵葉書のような写真に仕上がっていると感じました。
様々な色が美しい一方、都市もかなり近未来的・人工的な都市として作られており、まさしく本テーマのために作られた都市といえるでしょう。

最後に大会を通して総評をお願いします。

今回も非常に素晴らしい作品の数々が出揃っていましたし、何より審査員特別賞を選出できたのが嬉しかったですね。意欲的・前衛的な作品が今後も評価される制度を今後も続けていきたいと思っています。

他方で今回特に目立ったのがしろたんの濫用ですかね。自分でアセットを作っておいて言うのも何ですが、本コンテストはしろたんコンテストではないですし、作品上の意味を持たないのであれば無理に濫用したり「ウォーリーをさがせ」のように忍ばせたりするのはあまり得策ではないように感じました(私個人の審査票では、そういった作品は減点して審査しておりました)。

キャラの力ではなく、純粋に自分の構成力でもって勝負していただきたいところです。

ありがとうございました。審査委員長・運営、お疲れさまでした。

審査員 ピーポー

4回目の審査員お疲れさまでした。今回は「自然」というテーマだったわけですが、どういった印象でしたか?

前回の「人工的」と対比する形で決まった「自然」というテーマでしたが、都市を作るゲームでこのテーマは挑戦的だなというのが初めの印象でした。一方で、コンソール版においては、今までの入賞作品や入賞者のインタビューから、Cities: Skylines自体の自然描写のクオリティの高さは知っていたので(水の挙動を除く)、それに応募者の技術力が加わってどんな作品が生まれるのか楽しみにしていました。

ピーポーさんは審査員賞としてRaparasaさんの「どこまで行っても逃げてやる!!」を選定しましたが、その選定理由を教えてください。

まず題材選びが秀逸。多くの方が自然の「美しさ」に着目する中で、唯一自然の「厳しさ」に焦点を当てた作品で一際目を引く作品でした。ネタ以外でほぼ出番がなかったDLC「Natural Disaster」を上手く使ってる点もグッド。また、説明文から撮影者が今どのような状況に置かれていて、何故シャッターを切るのかという理由付けがなされており、より一層作品に深みが出ていると感じました。

PC版で印象に残った作品はありますか?

PC版では『向日葵畑』が特に印象に残りました。

Cities: Skylines_20210609085016

太陽の方を向き目一杯光を浴びる向日葵の力強さと、それを優しく見守るような青空の対比が非常に美しいです。構図としても、一点透視図法を用いた奥行きのある一枚であり、人やトラックを配置することで自然の中にある生活感も感じられます。もし写真展に飾ってあったら、思わず足を止めて見入ってしまいそうな作品ですね。

大会を通して感じたことがあれば教えてください。

前述したように、Cities: Skylinesの自然描写の高さと、応募者の技術力が合わさり、今回も素晴らしい作品が数多く生まれたように思います。
一方で、自然の「美しさ」に注視し、月や太陽をモチーフにした作品が多く、どれも似たような作品になってしまっているのが勿体ないなと感じました(決してそれらをモチーフにすること自体が悪いわけではありません)。例えば、月や太陽自体を見せずに、その光だけを画に入れることによって、暗にその存在を示したり、あるいは雨をモチーフにして、普段は歓迎されることのない雨にだって、良いところがあるということを表現したりと、描写の仕方はもっと色々あったのではないかと思いました。

最後に、参加者、視聴者に向けて一言お願いします。

先ほどと全然違うこと言って申し訳ないんですが、今ある街からテーマにあった風景を見つけて撮影するという試みがあってもいいんじゃないかと思いました。回を重ねるにつれて、テーマに合わせた風景をイチから創り出す方が増え、現在はほとんどの方がそのようなスタイルで作られていると思います。もちろん、そのお陰で毎度驚かされるような、独創性あふれる作品を観ることができているのは事実ですが、あれだけの作品を生み出せる方なら、きっと普段の街にもテーマにあった風景が転がっていると思うのです。そして、今ある街の風景を撮るだけで良いなら、今まで応募したことのないそこのあなたも、気軽に応募できると思います。次回もたくさんのご応募お待ちしております。

ありがとうございました。審査委員・運営、お疲れさまでした。

審査員 BAIKOKU

はじめての審査員お疲れさまでした。今回は「自然」というテーマだったわけですが、どういった印象でしたか?

ぁあ…自然か。自然の印象…そうだね。私が自然に触れたと感じたのはそう。
小学2年生の夏だったか。でも今考えてみると自然というのは感じるのでなくその場にある
全てだったのかもしれない。

さて、このゲームの基本的な機能として人工物を作るゲームなので、自然というテーマは難しいなという印象でした。その矛盾したテーマの中でどのような作品が出てくるのか全く予想できなかったというのが第一印象です。

自分だったらとプレイヤー視点で色々と考えましたが、出てきた作品は全然予測していない傾向だったと思います。
コンソール版はシンプルに自然の風景を切り取る。まさに自然を体現した作品が多いと感じました。
PC版では、少し傾向が変わって自然の中にある人の営みだったり、人が人工的に作った自然の風景を再現しているのが多かった印象です。

BAIKOKUさんは審査員賞としてnakamoto yutoさんの「風に吹かれて」を選定しましたが、その選定理由を教えてください。

遠景まで街が造り込まれており、この一枚を撮るための強いこだわりを感じました。また、その街もビルなど高い建物を建てず、ヨーロッパ風で統一された点もこの一枚に掛けた情熱が伺えます。アングルも街とメインである気球がバランスよく配置されており、美しい作品と言えると思います。

PC版で印象に残った作品はありますか?

私がPC版で印象に残った作品は2つあり、審査員特別賞にもなった「神奈川沖浪裏」です。

単純に見た時のインパクトが凄かったですね。 普通の感想ですが、こういうコンテストにおいてインパクトというものは最強の武器だと思います。 しかし、最強の武器だからと言って誰でも簡単に表現出来ることでなく、それを実際に表現できるスキルが伴ってこその武器だと思います。

もう一つは「遭遇!砂クジラ!!」です。

これもインパクトですね。第一印象でこんなこと出来るんだ!って思いました。
どちらの作品も作者様のスキルとひらめき、根気が成した凄い作品だと思います!

大会を通して感じたことがあれば教えてください。

構図の凝った作品が多いなと思いました。
少し前だと造り込みに徹した作品が多くて、細部まで造り込むことが良い意味で腕の見せ所という印象でしたが、今回はシンプルでありながらも綺麗な構図で勝負している作品が目立っていたかと思います。

そのあたりは、前回コンテストの審査員講評の影響もあるかもしれませんね。
では、最後に参加者・視聴者に向けて一言お願いします。

やはりこういう企画はお祭りと同じで参加することが一番楽しめる方法です。
まだ、参加していない人は一度参加してみてみるとこのイベントを何倍も楽しめると思います。

既に参加されている人はこれからも素晴らしい作品をどんどん見せて下さい!

最後に今回初めて審査員をしましたが、凄く難しかったですが良い経験をさせて頂きました。
拙い講評でお耳汚しになったかもしれませんが、貴重な経験をありがとうさぎ🐇

ありがとうございました。審査委員お疲れさまでした。