第三回フォトコンの審査員によるお気に入り作品紹介

第三回フォトコンの審査員によるお気に入り作品紹介

第3回のフォトコンテストも盛況のうちに終わり、参加者の皆様、投票にご参加くださった皆様に感謝申し上げます。本稿では神乃木さん、とかちさん、ピーポーさんの審査員3名に感想とお気に入り作品について語ってもらいました。審査員賞で選定した作品以外の気になる作品についても語ってもらっています。どの作品が選ばれたのでしょうか?各審査員のお気に入りポイントを覗いてみましょう。

神乃木リュウイチさん

審査員お疲れさまでした。コンテストを終えて今の率直な感想を聞かせてください。

まずは今回のコンテストに参加された皆様本当にお疲れ様でした。そして受賞した皆様、本当におめでとうございます。
今回も本当に楽しませていただきました。やはり審査員は楽しいですね。
このコンテストもいよいよレベルが上がってきており、回を重ねるごとに「これ以上のものはもう無いだろう……」と思わされつつ、更にその上を行くものが出てくる体験ができるのはこの立場ならではだなぁと、そう感じます。

改めて審査員賞として選定した作品を消化していただけますか。また、その作品の素晴らしい点を教えてください。

審査員賞は「不眠街」を選定しました。

sotono41さん作「不眠街」


選定した理由はずばり、「今までで見たことがなかったから」というのが大きいです。選定するときに感じたのは、「この作品は何らかの形で入賞させないと……」という義務感に似た感動ですね。

3回目を迎えた今だからこそ、このコンテストの目的とか意義とかも少しは見えてきた気もしていて、その一つに「新しさの追求」というのがあると思うのです。見慣れたはずのゲームのまだ見ぬ一面、要は「新しい可能性を発掘する」とでもいいましょうか。そんな意義があってもいいのかなと。

そういった意味で、この作品はとにかく新しかった。最近のリリースで超有名な某ゲームを彷彿させる町並み、とにかく大量のネオンと情報量、細かい部分まで作られた和洋中折衷(というかごった煮?)の感じ。他のゲームや映画でしか見たことのない風景がこのゲームでも作れることを知らされたのは、本当に嬉しかったですね。だから選びました。

審査員賞以外から気になった作品があれば教えてください。

「どこまでも続く朝の風景」ですね。

Fuchsさん作「どこまでも続く朝の風景」

この作品は北海道をモチーフに作られているのですが、とにかく自分が知る北海道の空気感がそっくりそのまま出てるんですよね。視聴者の方でも、見た瞬間に一瞬で「あ、北海道だ」と思った方が多かったと思います。
ただ、入賞レベルに持っていくのはあと少しだけ及ばなかった。恐らくですが、Cubemap Replacerで雲を作ったり、霧を作ったり<参考記事>して「空気感」を作って、アングルや光の加減をもっと工夫すれば、より説得力のある一枚になったのではないかと思います。同じマップでも撮り方や演出を知るだけで全然作品が変わってくるので、ぜひ今後も試行錯誤を繰り返してみてほしいなと思いました。

最後になりますが参加者、視聴者に向けて一言お願いします。

このゲームは既に発売から何年も経っているし、日本風、ヨーロッパ風、アメリカ風、中東風と、世界各国の町並みをかなりの精度で作ることができるようになりました。
私がやっている「日本風の街づくり」も、既に他の方もたくさん挑戦していますし、こう言ってはなんですが、特段珍しいものではなくなっていると思うんですよね。もちろんこれは喜ぶべきことで、日本風の街づくり動画をアップしたり、アセットを作ってきた甲斐があるなと思うのです。
ですが、それでもやっぱりこのゲームにはまだたくさんの可能性もあるし、それを見たいと感じる自分がいる。そのためにもぜひ、これからもCSLコンテストを開催していきたいと思うし、皆さんから感動するようなスクリーンショットをたくさん見せてもらいたいと思います。

とかちさん

審査員お疲れさまでした。コンテストを終えて今の率直な感想を聞かせてください。

多数のご応募、そしてTwitterでの投票や配信をご視聴いただきありがとうございました。
また、受賞者の皆様おめでとうございます。
今回も想像以上にレベルの高い作品が応募されていてビビったというのが正直な感想です。

改めて審査員賞として選定した作品を消化していただけますか。また、その作品の素晴らしい点を教えてください。

はなまるうどんさん作の「午後」です。

はなまるうどんさん作「午後」

なんてことない景色なのにはなまるうどんさんらしさを感じるのはなぜでしょうか?
小物、ネットワークすべてのオブジェクトに一点一点になぜそこにあるのか考えて設置しているので命を感じます。ハイセンス。
手前にある土手もリアル過ぎてどうやって作っているのかわからなくて、限られたリソースを工夫を凝らして作成しているのが感じられます。
最近はアセット制作できてないけどやりたいことが見えて来る作品でした。

審査員賞以外から気になった作品があれば教えてください。

al_1001さん作の「春」です。

al_1001さん作「春」

桜が咲く、雲ひとつない晴天の日にポツンと立つスーツ姿の女性。季節とストーリー、女性を取り巻く状況などの情報を一枚の写真に収めることができるのはすごい。
このゲームに季節の移り変わりはないですが、それを克服しているのがいいですね。
建物と人のコントラストが緊張感を醸し出していて、日常の中にある非日常に焦点を当てたのが面白いと感じました。

最後になりますが参加者、視聴者に向けて一言お願いします。

現在でもほぼ毎日、日本向けのアセットが公開されていますし、まだまだこのゲームで出来ることは増えていくでしょう。
これからもアセットを作る人と街を作る人が双方で刺激しあって発展していけるといなと思います。

ピーポーさん

審査員お疲れさまでした。コンテストを終えて今の率直な感想を聞かせてください。

まずはコンテストに応募いただいた皆様、そしてTwitter投票や当日の配信で参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。皆さまのお陰で今回も素晴らしい経験をさせていただました。
前回は初めての審査員ということもあり、当日はとんでもなく緊張してたんですが、何でも2回目は慣れると誰かが言ってたように、今回は多少コンテストを楽しむ余裕みたいなものは出てきたような気がします。それでも、配信前は緊張で夕飯が飛び出そうにもなりましたが…。
正直、前回のコンテスト作品を見たときにコレ以上はないんじゃないかと思ったりもしましたが、そんな不安を払拭させてくれる素晴らしい作品ばかりでした。審査員私でいいの?と思ったりもしますが、そんな気持ちは棚に上げて、素晴らしい作品を誰よりも堪能できる立場にいることを満喫させていただきました。投票の際に、複数投じることができるにも拘わらず、作品を見返しながら1時間以上ウンウンうなっていたのはいい思い出です。いや、むしろ複数投じられるからこそうなってたのかも。

改めて審査員賞として選定した作品を消化していただけますか。また、その作品の素晴らしい点を教えてください。

審査員賞では、「シティーズスカイライン PlayStation4 Edition」を選ばせていただきました。

NEWHORIZONさん作「シティーズスカイライン PlayStation4 Edition」

この作品は、シティーズスカイラインのパッケージ絵の再現なんですが、こういった系統のものは審査では評価されにくいというのは分かっていたので、コレはどこかで日の目を見させなければと思い、今回は選出させていただきました。
コンソール版Discordサーバーで「誰かパッケージの写真を再現する人でてこないかな」という会話をしていたのですが、まさか本当に現れるとは思っていなかったので驚きでした。また、パッケージ絵と見比べてもらえば分かりますが、とにかく再現度が高い。ちょっと再現してみようでは到底無理なクオリティで、制作者の技術力が伺えます。加えて、コメントにもあるように、車両や飛行機、電車が夕方のタイミングでやってくるまで、ひたすらに待ったという忍耐力もコンソールならではの推しポイントです。

審査員賞以外から気になった作品があれば教えてください。

PC部門で入賞されていた、「Through the window」です。

KAZU0ツさん作「Through the window」

応募された作品の多くは、撮影者自身も日常の中にいるという構図でしたが、この「Through the window」は、旅(非日常)で泊まった宿で、撮影者が窓の中からそこに住んでいる人たちの日常を眺めるという構図であり、他とは一味違う視点を持ったこの作品に感銘を受けました。また、季節感があまり感じられない作品が多い中で、この作品は今の季節にピッタリな雪景色だったのも好感が持てます。
街自体のクオリティの高さはもちろんですが、その作品に込められたメッセージを読み取れる余白みたいなものが多く、見ている人の想像を掻き立てる素晴らしい作品だと思います。

最後になりますが参加者、視聴者に向けて一言お願いします。

これまでの3回のコンテストを通して、「街づくり」のクオリティは、部門を問わず上がり続け、一定の完成度を超えているものが増えてきました。ですが、そのクオリティも限界が近づいてきているような印象を受けます。言い換えれば、審査員や視聴者の目が肥えてきているのかもしれません。しかし一方で、先ほどの質問で回答したように、その構図である意味であったり、その作品に込められたメッセージ性であったり、作品を通して何を伝えたいかという、「写真」としてのクオリティはまだまだ改善の余地があるように感じます。事実、入賞した作品には何かしらの伝えたいことがハッキリしていた印象です。
伝えたいことを明確にできれば、作品のクオリティはもう一段上がるのではないでしょうか。…とここまで話してきましたが、こうなってくると困るのは、クオリティが高すぎて自分のなんてと応募をためらっている方たちです。ですが、そういう方たちにこそ、挑戦してみてほしいのが「写真」としてのクオリティを上げることであり、それこそが技術力を持った人と戦う唯一の方法なんじゃないかと思っています。てことで、あまり恥ずかしがらず応募してみるのが吉です。自分が思っていたことと、周りが思っていたことが違うなんてのはザラですから。