皆様こんにちは、神乃木リュウイチです。2020年10月3日土曜日に、CSLフォトコンテスト第二回が開催されました。
今日はそのコンテストのPC版優勝者であるosaru_san氏にインタビューを行いましたので、その内容をお届けします。
生放送でのインタビューで知った方も多いと思いますが、osaru_san氏の受賞作や街づくりには、本当に様々なこだわりがありました。
いつからCities: Skylinesを始めたのか、他にはどんなゲームをやっていたかなど、コンテスト以外にも聞きたいことがたくさんあるosaru_san氏。さっそくインタビューを始めていきましょう。
また、記事中にはosaru_san氏より提供いただいた、「同じ街の別カット」も掲載しています。こちらもぜひお楽しみください。
(本インタビューはボイスチャットによるリアルタイムインタビューを編集部側で加筆・編集したものです)
受賞しての率直な感想は?
今日はお時間を頂きありがとうございます。まずは第二回フォトコンテストでの優勝おめでとうございます。生放送のときもお聞きしましたが、タイトルを防衛(注:第一回コンテストでも優勝されています)した感想などはありますか?
正直なところ、手応えがなかったのでびっくりしています。前の作品は自信があったのですが、前に比べると今回のは自分では見劣りする気がして、優勝できるかどうかまったく自信がなかったです。
そういえばTwitterでも奥様による「0次審査」でダメ出しを食らった作品が多いとおっしゃってましたよね。コンテスト優勝作の0次審査はどうだったんでしょうか?
この写真は見せていませんね(笑) 「飛行機から見える景色がいい」と注文があったのですが、何を言っても審査には通りませんでした。
我々よりも厳しい審査員ぷりですね……(笑)
今回はあえて「0次審査」を無視した作品ですが、実際に優勝したからには相応のこだわりがあると思います。自分なりに、今回評価されたこだわりポイントはどういったところだと思いますか?
プレイするときに気にしているのは、とにかく「現実と見紛うような感じ」ですかね。ゲームじゃなくて写真と思えるようなものです。
例えば樹木を植えるにしても、Live Oakを敷き詰めるだけではなく、植物図鑑などの資料を参照しながら、本物の植生と同じように複数の植物を配置しています。そうすると、色合いや大小のバランスが自然になるわけです。そういった細部のこだわりが評価されたのかなと。
「現実にあるものを再現する」というのは、架空都市でも本物の都市でも、街づくりのベースになる大事なスキルですよね。
ただ、実際に写真を見るだけでも何をどうすればよいかわからないユーザーも多いと思います。osaru_sanさんは、なにか参考にした資料はありますか?
最近だと「街づくり解剖図鑑」を読みましたし、それ以外にも色々な書籍や資料を見ています。やはり資料を読んでから作るのとそうでないのとでは、仕上がりにだいぶ差が出ると思いますね。
確かにそのとおりですね。osaru_sanさんは、もともと街づくりに興味があったのでしょうか?
そうですね。もともと中学生くらいのときにシムシティ3000をプレイしてて、シムシティ4もプレイしてました。CSLは発売から1年後の2016年くらいから始めました。
約4年前からですか。結構初期から始められていたんですね。今回のコンテストのようなジオラマプレイもその頃からやっていたのでしょうか?
そうですね。海外プレイヤーのジオラマプレイを見て遊びたくなったので、最初からジオラマプレイで遊んでいました。ただ当時はアセットの数もあまり多くなかったので1年くらいで遊ぶのをやめてしまってましたね。
最近再開したのは家にいる時間が長くて暇になったからです。
今回の受賞作を作る上で工夫したこと
確かにCSLは暇を潰すにはもってこいのゲームですよね(笑) ちなみにCSL以外のゲームだと何か遊んでいるゲームはありますか?
FPSでよく遊んでましたね。あとはレースゲーとかもやってました。ただ、一番ハマったのはCSLだと思います。
ちなみに、今回の作品を作るのにかかった「時間」ってどのくらいかかりましたか?
測っていないですが、恐らく50時間くらいはかかってますね。スクリーンショットに映らない部分も含めて街を作り込んで、それから良い構図を選んだ感じですね。
現実の写真とほぼ同じ感じで作りこんでいるんですね。準優勝のはなまるうどんさんは、「先に構図をスケッチしてから街を作った」と言っていましたが、それとは違うやり方だったんですね?
確かに別なやり方ですね。ただ地図は書きました。等高線も書きましたね。地図MODを使って印刷して、紙で道路や鉄道のプランニングをしましたね。
Cities: Skylinesを始める前に遊んでいたものは?
手慣れてる感がものすごく出ていますね(笑) CSLをやる前も、近しい分野で趣味はありましたか?
ゲームは昔から好きでしたね。子供の頃は空想地図を描いていたので、その影響は少しあると思います。こういう趣味をわかりあえる人がCSLの界隈には居るのがとても良いですね。
確かに。このゲームは道路、車、鉄道、飛行機、建築とあらゆる分野のオタクを引き付けるゲームですもんね。たまにその業界の第一人者みたいな人が出てきたりもするので、すごいゲームだと思います。
そういえばosaru_sanさんはものすごくリアルなアセット制作もされていますよね。もともとお仕事などがそっち方面だったのでしょうか?
いえ、実は3D経験などはなくて、アセット作りで3Dを学びました。Blenderは3〜4年前にやろうと思ったのですが一度挫折してしまって(笑)
コロナ禍で暇になったので、今度は本気でやってみようかなと。
なるほど。公開されている作品を見ると、コメリやコバックなど、北関東エリアを中心にしたものが多いですよね。やっぱりそういう風景を作りたいと思ったのでしょうか?
そのとおりですね。北関東のロードサイド、埼玉の北の方や群馬県あたりの風景を作りたくてアセットを作りました。
なるほど。ただ、今回の作品は田舎ですよね。北関東以上に田舎を作りたい理由などがあったのでしょうか?
そうですね。田舎って意外と作ってる人が少ないんですよね。都市だとみっちり建物を埋めればそれっぽくなりますが、田舎だとそれが難しいので、挑戦してみる価値があると思いました。
それは確かに。ライブ配信でも言いましたが、今回の作品の田舎って、「誰の私有地にも見えない余白のエリア」があちこちにあって、その辺の再現がものすごくリアルだったんですよね。雑草が生えていたり、誰のものかわからない物が放置されていたり。
ちなみに今回の作品用に作ったアセットはありますか?
今回は蔵と納屋を作りましたね。こういった田舎を作るために作ったアセットたちです。
自分用にアセットを作って撮影できるのはアセット製作者の特権ですね(笑) ちなみに、アセットで一番人気が出たものは何でしょうか?
変電所でしたね。最近だとコーナンやコメリといったホームセンターも作ったのですが、海外ウケがいいのはやはり変電所かなと。
これからコンテストへの投稿を考えている方へ
ありがとうございます。ここまででだいぶ時間が経ってしまったので(実録で1時間経過)、そろそろまとめに入ろうと思います。
まずはこれからCSLを始めたい人、これからコンテストに応募する人へ向けたメッセージを教えていただけますか?
一番言いたいのは「あまり沼にハマりすぎないように」ですかね(笑)。フォトコン一回目のときはアセットは作っていなかったですが、二回目のときには自給自足の沼にハマっていました。
それだけこのゲームが魅力に溢れている証拠でもあるんですけどね。
個人的には、このゲームはシミュレーションゲームではないと思っています。箱庭を作るものであり、デザインツールなんじゃないかなと。
僕も全く同意見です。3Dで自分の好きな町並みをデザインしていくお絵かきツールのような感じがしますよね。
ちなみに、osaru_sanさんご自身の今後の課題というのは何でしょうか?
「感性に訴えかける写真」を作りたいと思っています。前回のフォトコンのcanoさんの作品のような画作りに挑戦したいと思っています。コンソール版でも、感性に訴えかけてくる作品がいくつもあるので、まだまだ勉強の余地がありそうだなと思ってます。
ありがとうございました。大変おもしろいインタビューでした。今後とも頑張ってください。
こちらこそ話せて楽しかったです。ありがとうございました!
以上、CSL フォトコンテスト第二回優勝者のosaru_san氏からのインタビューをお届けしました。
やはり優勝者の方になってくると、自信がないと言いつつもものすごく綿密な下調べ、プランニングなどにこだわっていることがわかりますよね。更に、次の自身の課題に「画作り」を入れているのも、流石という感じがします。
このサイトで行っているコンテストは「フォトコンテスト」であって「街づくりコンテスト」ではないんですよね。街づくりではなく写真としての出来栄えで戦う必要が出てくる。そこのところを理解した上で磨いていくということなので、次回以降もコンテストもとっても楽しみです。
ちなみに、ここまでの記事を読んで「これは自分では敵いそうもないな……」と思った方もいらっしゃると思いますが、次回以降のコンテストでは、写真・ジオラマの出来以外の部分でも競い合えるような、新しい評価軸を組み入れる取り組みを行ってきたいと考えています。
具体的には「審査員特別賞」をグランプリと同等の賞金で設定し、街そのものやジオラマの出来ではなく、アイデアや偶然性、テーマの解釈など、より「一枚の作品」としての面白さを探求したものを入賞作品に入れていきたいと思っています。次回の審査員長は私神乃木が務めますので、ぜひ審査員特別賞も楽しみにしていただければ幸いです。
それでは皆様、また次の記事でお会いしましょう。ありがとうございました。